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| いまのうちにたくさん見ておきたい(2018) |
*
自分の信じてきたものが
覆されるような
そんな場面に出くわした時。
もうだめなのかと
思う瞬間がある。
自分の信念、価値観、
努力や時間。
これまで生きてきた
時間そのものが
無駄だったかに思える
大げさな悲観が
全身をすっぽり
くるんでしまうことが
たまにある。
それをくり返すことで
稀だったはずの落胆が
常態化して
絶望感がすぐそばの
友だちみたいな存在になる。
何をやってもうまくいかない。
結果が出ない。
同じことのくり返し。
ここから抜け出すことができない。
・・・自分はこんな
悲観的な思考だったか?
ふと、立ち止まる。
今、この瞬間を
心から楽しめるのが
自分の長所だと思っていたのに。
いつしかそれができなくなった。
未来 将来 約束
そんな見えない鎖に
がんじがらめになって
心が動かなくなった。
**
父の誕生日。
亡き父を思いながら
車に乗る。
歯医者さんへ行くのに
2時間もかけて
車を走らせるなんてと。
そう言われることがある。
確かに。
けれど
自分にはその時間が
豊かに思える。
何もしない時間。
運転をしながら
音楽を聴いたり
ラジオを聴いたりする時間。
父の誕生日——
命日の翌日でもあるその日
ラジオを聴いて
車を走らせていた。
ラジオから聞こえてきた言葉。
『行動変容』
気になったので
その言葉を記憶した。
家に帰って
調べてみた。
『行動変容モデル』
アメリカの心理学者
ジェームス・プロチェスカと
ハロル・ディクレメンテらが
提唱した
フレームワーク
(考え方の骨組み)で、
禁煙、ダイエットなど
個人の健康行動の
改善研究から生まれた
考え方である。
これまでの行動を
変容させるために
どのような心の段階を経て
行動に移し
習慣化できるかというものだ。
とてもおもしろいい内容だった。
自分が見たのは
医療関係に従事する方の
資料だった。
最後、その人が、
個人的な意見でまとめていた。
「この人は変わらない、
何を言ってもだめだ、
年だから仕方ないとか、
つい、
思ってしまいがちですが。
そうやって片づけることは
決してして欲しくはないです。
私もつい、
しちゃったりします。
そういった思考に
ならないためにも、
人として向きあい、
相手を理解すること。
それが大切です」
『相手を理解すること』
その言葉が
心に残った。
相手のことを
コントロールはしたくない。
変えたいとも思わない。
自分は指導者でも
リーダーでもない。
自分が悩み
迷っているものの正体。
『自己効力感』
最近それが侵されている。
言葉を知っても
その正体のすべてを
理解できるわけではないけれど。
概念を知ることで
おぼろげな輪郭はつかめる。
無力感、徒労感、
劣等感、絶望感。
そんな悲しい苦しみが
どこから発生するのか
確信が持てた。
いつも自分の答えに自信があり、
迷ったことはなかった。
けれど、
最近、よくわからない。
父の命日。
答えがわからず
神頼みにも似た気持ちで
死者である父に問うてみた。
「どうしたらいいかな、
父さん」
歯医者さんの予約を
あえて父の誕生日にしたこと。
その日
ラジオで聞いた言葉
『行動変容』。
そこからつながった
「あきらめないで」
という言葉。
それが叶うか
どうかじゃなくて
あきらめない
という気持ち、心意気。
ラジオの中で
また別の人が言った。
あきらめそうになったり、
くじけそうになったりした時。
この唄に、励まされてきたと。
「自分の気持ちと
重なる部分があるので」
カーラジオから
中島みゆき氏の
『ファイト』が流れた。
泣けてきた。
『あきらめという名の鎖を
身をよじってほどいてく』
そうだった。
自分は
目の前の人を
笑顔にしたいと
思ってきたんだ。
忘れかけた大切なこと。
言葉で誰かを支えたい。
言葉で誰かを励ましたい。
自分が何度も救われたように。
誰かをそっと励ましたい。
あきらめない。
けど、執着もしない。
自分の心に従えばいい。
怖くはない。
失敗なんていうものは
あきらめなければ
永遠にこない。
自分が無力なんじゃなくて
今いる環境や状況がよくない
こともある。
「ここ」から出よう。
「がんばった賞」はいらない。
言葉は占いではない。
迷った時の道しるべ、
ゆっくり染み込む薬でもある。
観察。モデリング。
行動変容。
言葉や用語だけでなく
行動すること。
実践。
あきらめない
自分の心に従おう。
自分の心に蓋をしたこと。
臆病になって逃げたこと。
正解よりも大切なもの。
自分の気持ち。
自己犠牲の必要はない。
自分の心を殺して
笑ううちに
心がどんどん
無感情になった。
もうだめだと
ここにいてはいけないと
心が訴える合図。
目が見えない。
景色がぼんやり
かすんで見ええる。
見えないから見えたこと。
見えないから見えること。
どう見られるかではなく
自分がどう在るか。
人が見ていようがいまいが
行動は変わらない。
「ここ」ではない場所の
景色を見るために
小さな一歩を踏み出そう。
自分の弱さと
決別するために。
かつての自分を
取り戻すために。
たくさん転んで
恥をかこうと思う。
嘘だらけの世界の中で
本当だと思えることを
最後まで信じたい。
