2009/03/09

ぼくは車

          作詞/いえはらとしあき

冷めきったエンジンを、
ゆっくりと回しながら温めていく。
そろそろリズムもそろってきた。

空吹かしはそれくらいにして。
クラッチを踏んで、ギアをローに入れて、
アクセルをぐぐっと踏み込んで。
あわててノッキングしないように、
ギリギリのところでつないでほしい。

ぼくは古いタイプの車だから。
時代おくれの車だから。

時代おくれでも、普通に走れる。
古いだけで、ほかの車と何も変わらない。
時代おくれでも、
初めて見たら、新しい。


ずっとガレージに入れられたまま、
じっと停めっぱなしだった古い車は、
ガスくさい煙を吐き出しながら、
嬉しそうに体をぶるっと揺らす。


青い空は、気持ちがいいな。
真っ暗なガレージの中に比べたら、
どしゃぶりの雨だって気持ちいい。

このままどこまでも走っていきたい。
ガソリンがなくなるまでずっと走っていきたい。
いつかタンクが空っぽになったとしても。
それでもずっと、走ってられたら。

でも、それじゃあ、
ぼくがぼくである意味がなくなる。

だってぼくは、車だから。

サビだらけのオンボロだけど。
穴だらけで でこぼこだけど。
ぼくは、車だ。

オマケやマンガや募金じゃなくて。

そんなに特別じゃなくて。
ぼくはただの、車なんだ。

ただの車なんだ。



< 今日の言葉 >

Q:お休み前に読んでもらうご本は?

A:『FAIRY  TALE』という妖精のお話です。毎晩、ママに読んでもらってます。
  こうすれば、ステキな夢が見られちゃうというわけ。
  それから、たとえ夜中に目がさめちゃっても、ベッドのそばに水玉のスタンドがあるから、
  けして怖くはないのです。

Q:毎日の日課は?

A:それはおひげのお手入れ。朝7時に目を覚まして歯をみがいたら、
  これを欠かさないのが、チャーミングなねこの女の子のお約束です。
  

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