2021/12/16

『こわすのはかんたんだからね』制作記録




 


<注意>

かなり長めの記述なので、お菓子とお茶のご用意を。





『こわすのはかんたんだからね』


今回、一宮市政100周年イベントの一環で、

主催者側の方に声をかけていただき、

実現した展覧会だ。


場所は一宮市木曽川町。


会場となったのは、

地場産業である毛織業を営んでいた

工場跡の建物。


毛織業から金属加工業へと移り変わり、

そして「工場跡」となった、

のこぎり屋根の建物だ。


立地としては、

名鉄尾西線の終着駅である

「玉ノ井駅」のすぐそば。


線路(電車)が目の前に走り、

駅から歩いて

2分とかからない距離にある。











































展覧会の会期より1年くらい前、

ぼくは、たまたまこの建物と「出会って」いた。


この、のこぎり屋根の連なる、工場跡。


建物付近の街道を車で走っていたら、

ふと気になって、

この界隈(かいわい)を散策したとき「発見」した。



「わぁ、かっこいい建物だなぁ。

 中、どうなってんだろう。入ってみたいなぁ」



そんな願いが通じたのか。


今年の1月、

関係者の方から声をかけていただき、

話を聞いて、びっくり仰天。


入るどころか、

まさか「そこ」で展覧会をするとは。



こうして、

<ノコギリ・スケルトン・トライアル>

の催し物のひとつとして、

私こと家原利明の展覧会が

加わったわけであります。





















工場の壁が、まだあったころ。


今年の2月、

主催者の方々とともに、

会場である工場跡へとおじゃました。


ここをどのようにしていくのか、

どんな思いで、

どんなことをしようと思っているのか。


そんな話が繰り広げられた後、

工場の持ち主であるご主人が、

最後、ぽつりと言った言葉が

ぼくにはすごく印象に残った。



「この建物を、

 斜陽(しゃよう)の対象には

 したくないんですよ」




ご主人の言葉を胸に刻んで。

ぼくは、工場跡の建物をあとにした。



そのときはまだ、

どんなものをつくろうか、

はっきりした画も浮かんでいなかった。




























































7月。


のこぎりの「スケルトン計画」が

どのように進んでいるのか。


別の現場の帰りに、

ふらりと立ち寄らせてもらった。


東側壁面に足場が組まれ、

傷んでいた壁がすっかり取り払われて、

陽光が明るく差していた。


心なしかご主人の顔つきも、

初見のときより明るく見えた。


作業風景を横目に見ながら、

ぼくは、足場に登って景色を見下ろしたり、

赤い電車を見送ったり。


夏の陽ざしの中で見る景色は

色が匂やかで、

どれもが活気づいて見えた。


初めて見る景色。


ほんの少し目線が変わるだけで、

こんなにも世界が変わるんだな。


スレート屋根のザラザラした質感。


赤い電車の屋根の上。


遠くに見えるお寺とか、

木とか空とか車とか。


ほんの少し登っただけなのに、

ものすごく高く感じるのは、

周囲に高い建物がないせいもあるだろう。


眼下に見える駅のプラットホームが、

ずいぶん遠くの景色に感じた。



そんな風景を吸い込みながら、

屋内に戻って、作品の構想を練る。


作品、なんていうと

仰々しいけれど。


工場跡の建物内に座って、

何をつくろうか、どんな展示にしようか、

ぼんやりと思い描いたり

消したりしていた。












































































































* *




11月3日。


最終的な下見も兼ねて、

会場へ。




会場では、写真展が催されていた。

そこで、建築関係の人たちが、

いろいろな話をしていた。


話を聞いているうち、

ふと、頭に浮かんだものがあった。



つくってこわす。

こわしてつくる。



いろいろな断片が、

つながった。



会期の日程も、

このときに決まった。




会場には毛織関係の方もいらした。


主催者の人とともに、

毛織(布)をいただけるかとお聞きすると、

快く承諾してくださった。



工場は、

会場から目と鼻の先ほどの距離にある。


さっそく(徒歩で)いただきに行った。

























昭和10年代の事務所。


こういうとき、

仕事だというのに、

ついついわくわくの虫が

騒ぎだして仕方ない。



学校みたいな建築。

調度品、照明、床、お手洗い。

どれをとっても

「たまらん」ものばかりだった。



「こちらから、お好きな布を

 お好きなだけ、持って行ってください」



スーツなどを仕立てるための、

高級毛織。


しっとりとしてふわふわのウールや、

さらりとした綿や混紡。


とても「画布」として使うのには

もったいないような、

上質で、見るからに高級な感じの

毛織ばかりだった。


「ありがとうございます」


お礼を述べて、

遠慮なく物色。


くるりと巻かれた毛織たちを、

どんどん選び取っていく。


『NEW  WOOL』

『DOMINX』

『MADE  IN  JAPAN』


世界に羽ばたく布だと伝えたくて。

なるべく「耳」のついた布を選んだ。


そんなわけで、

たくさんの布を

思いっきり分けていただいた。



葛利毛織工業 株式会社さま。


この度は本当にありがとうございました。



やわらかな高級ウールを、

両腕に抱えるようにして、

主催者の人と一緒に会場へと運ぶ。


途中、ぽろぽろと落としながらも、

無事に帰還。



会期までは時間がない。


会場で、カメラマンの方にも声をかけ、

今回の作品撮影をお願いした。



完成作品の撮影。



これがなければ、

今回の展示作品は成り立たない。




最後、主催者側の、

関係者の人にあいさつ。



「それじゃあ12日、

 13時ごろに来ます






現場入りの12日。






がらんとして、

誰もいない現場で。




取材に来てくださった、

地元誌の記者さんと話していたら。



「あれぇっ、いつからいたんですか!?」



驚き立ちすくむ、ご主人の声。



「なんか声がするなって思って来てみたら。

 だいぶ待ったんじゃないですか?」




こんなふうにしてはじまった、

今回の展覧会。



いざ、はじまったら。


偶然の連続。



この、現場入りの初日も、

もしひとりだったら、話し声も聞こえず、

気づかれずに終わったかもしれない。


























1月から11月。


あんなにあったはずの時間が、

気づけばあと1週間。



それでも。



猫とやさしいご主人のいる現場で。



わくわくが、

ずっと止まらなかった。





* * *





<11月15日> 現場初日:開催まであと8日



葛利毛織工業さんの布とは別に

関係者にお願いしていた布。


現場には、

たっぷりの布が用意されていた。



けれども。



数ヶ月前からお願いしていた絵具は、

まだ、現場に届いてはいなかった。



ということで、

いただいた布を並べてみることにした。


物量も知りたかったし、

どんな感じになるのか、

実際に目で見てみなければわからない。

やってみて、初めてわかる。



会場の風景を見ていて、

色は、グレーに統一しようと思った。



紺やカーキの布もあったが。

会場に溶け込む色合いの

グレー系統だけでいくことにした。





























































床全部に敷きつめたところで、

七尺脚立を立てて、

布を見下ろす。

(七尺=約210センチ)



さて、何を描こう。



抽象ではなく、具象がいい。

それ以外は、いまだ霧中。




じっと見下ろしながら、

お菓子を食べる。



電車が駅に滑り込み、

しばらくすると、

乗客を乗せてまた走り去った。




いろんな色の、灰色の布。

いろんな模様の、灰色の布。




じっと眺めていたら、

絵が、浮かんできた。




ノートを手に取り、

脚立の上で絵を描いていく。



「よし」



ひとり声に出してうなずくと、

荷物を片づけ、現場をあとにした。



このとき、展覧会の題名も決まった。



『こわすのはかんたんだからね』



展覧会名が決まったおかげで、

ようやく広報物の準備ができた。














<11月16日>:開催まであと7日



絵具はまだ届かない。


絵具待ちのため、16日は自宅待機。

別の展覧会の用意や、

自宅でできることをやった。



念のため、というか。

自分で注文した絵具が

お昼に到着した。



待望の絵具!



かつての自分なら、

それを持って現場に飛んでいただろう。


けれども、そうはしなかった。



なぜ?



あわてても仕方ない。

なるようになる、と思っていたから。


それだけのことだ。






<11月17日>:開催まであと6日




現場に行ってみて、

わかったこと。



それは、敷いた布を

いたずら猫ちゃんたちが、

ぐちゃぐちゃにしてしまうこと。


布を敷きつめた状態のまま

1日空けたおかげで、

それがわかった。



もし、それと知らずに絵を描きはじめて、

そのままひと晩放置していたら。



描きかけの絵が、

ばらばらになっていたかもしれない。


または、


今回の目的、完成作品の写真撮影が

かなわなかったかもしれない。



これも「偶然」わかったことだ。





これまでにもちょくちょく、

絵を描いてるところが見たい、とか、

ライブペイントをお願いしたい、とか、

そんな声があったりもした。



自分が絵を描いているところなんて、

見ててもすごく地味だし、

ライブペインティングをしてみても、

ボブ・ロスみたいに

ドラマチックな展開にはならないし。



自分が描いているところを

勝手に見てくれるのは構わないけれど。

わざわざ人に見せるようなものでもないと、

そんなふうに思っていた。



世間では、

家原利明ゴースト画家説が

まことしやかに吹聴されはじめていた昨今・・・。


今回、そんな風評も

払拭できたのではないでしょうか。



皆さん、

本当にぼくが描いてるんですよ!ってね。





絵具の到着を待ってできた、

1日の空白。



1日待ったおかげで、現場には、

GoPro(ゴープロ)が設置されていた。


のこぎり屋根のご主人が思い立ち、

急きょ、手配してくれたものだった。



もし絵具を持って「強行」していたら。



今回、制作風景の動画は

撮影できなかった。



もともとぼくの頭には、

制作風景の撮影という考えはなかった。


今回、のこぎり屋根のご主人が、

制作風景を撮影したいと思ってくれた、

そのおかげで、

展示作品に深みが出たし、

また、言葉以上の説明を果たしてくれた。



もし、絵具の到着待ちの時間がなかったら。



今回、動画での制作過程の記録は

存在しなかっただろう。





これは、作品にとっても、

ぼくにとっても、

すごく大きな要素になった。



今回、

動画を撮影・編集していただいたご主人には、

本当に感謝しまくりなのであります。





























もうひとつの「偶然」。


注文したかった絵具が

廃盤になっていたこと。



蛍光色のピンク。


ずいぶん前に確認したときには、

そんなことはなかったはずだが。


注文するとき、

蛍光ピンクの絵具が廃盤になっていて、


「おひとり様1缶限りでお願いします」


という状況だった。



何たること!



あたしの代名詞でもある

蛍光ピンクがっ。



もし時間に猶予があったら、

誰かに頼んで「もう1缶」頼んでいただろう。



迷い、悩みぬいた挙句、

代替策として「蛍光オレンジ」を1缶注文した。



もっとたくさん注文してもよかったが。



関係者の人にもお願いしてあったので、

まあよし、ということにして。



結局、蛍光ピンクを1缶、

蛍光オレンジを1缶、注文した。




先にも言ったが。



関係者側からの絵具は、

現場に届かなかった。



不思議なことに。



今現在、こうして皆さんが

この記述を読んでいるときにも。


絵具は届いていないままだろう。



なぜだかわからない。



けれども「そういうこと」なのだ。





この「偶然」のおかげで、

描画は、2色で行うことになった。



いつもの自分だったら、

蛍光ピンクしか使わなかったであろうはずが、

今回、蛍光オレンジも合わせて使うことになった。












































待ちに待った、この瞬間。

いざ、お絵描き。




特に考えもなかったので、

手持ちのバケツの絵具がなくなったら、

ピンクの次はオレンジ、

オレンジの次はピンク、と、

交互に絵具を使っていった。




おかげで絵が、華やかになった。



グレーの布地に、

オレンジが映えた。


ピンクだけでは感じ得なかった、

にぎやかな色彩。



光や天候によって、

ピンクが鮮やかに浮かんだり、

オレンジがまぶしく輝いたり。



前もって早めに注文していたら、

この「偶然」はなかったかもしれない。



2缶しかないという、

やや頼りない状況での描画も。


緊張感と手離れのよさにつながり、

いっそう迷いのない線が描けたと思う。



ボーイミーツガール。

偶然の神様どうもありがとう。






途中、お腹が減ったので、

近所のお店へお菓子を買いに行った。


ご主人が貸してくれた、愛用の自転車。

何ともそれは、

ご主人が小学3年生のときから乗りつづけているという、

強者(つわもの)の自転車である。











後輪、荷台部分に鉄製の枠(カゴ)がしつらえてある。


数差コンマ何ミクロンの仕事をしてきた

「手練(てだ)れ」のご主人でありますから。

金属加工ならお手の物、です。




お菓子を食べて、休憩完了。



もしもおなかが減らなかったら、

もしもお菓子を食べなかったら、

集中のあまり、

一気に描きあげてしまっていただろう。




そしたら、

こんな写真は撮られていなかった。





















偶然このとき、

現場に立ち寄ってくれたカメラマンさん。

おかげで動画だけでなく、

制作過程の写真も撮っていただけた。




そして偶然、

この日に絵が完成した。




本当にちょうど、

計ったかのようにぴったり、

2缶使いきったところで、

絵が、完成した。




流れに身をまかせること。



流れに逆らったり、

よけいな力を加えたりせず、

そのまま身を委ねる。




ないものを欲しがったり、

どうにもならないことをあれこれ嘆いたり。


そんなことをしても、

ないものが生えてくるわけでも、

空から降ってくるわけでもない。



第一、まったくたのしくはならない。




流れに身をまかせること。



その中で、

自分はやるべきことをやるだけ。




そうすれば、

行き着くべき場所へと

自然に流れ着く。



そんなふうに思えるようになったのも、

ここ数年のこと。


それがようやく実践できるようになったのは、

ごく最近のことでしかない。




今回の肝である「完成した絵の写真」。


描きあがったばかりの絵を、

さっそく撮影してもらった。










時間は読めない。

やってみないとわからない。


何日かかるのか、

やってみないとわからない。



今回は1日で描けた。



やってみてわかった。



初めての素材。

対話。

ウール。

布の個性。

しみこんだり、滑りがよかったり。



濡れたウールの匂い。


雨に濡れたブレザーの匂い。

高校時代、雨の日に女の子と一緒に帰ったとき、

バスの中で嗅いだ匂い。



ほこりっぽく、乾いた布の匂いは、

払い下げの、軍物の古着の匂い。

山積みの古着をあさるときの、

あのときめき感。



いろんな記憶。



いつもなら音楽を流して描くことが多いけれど。


今回は「無音」。


ナチュラルな、環境音。


電車の音。

アナウンスの声。


何も聞こえない、

無音の時間。



どうやって描いたのか、

あんまり記憶がない。



記憶の代わりに記録がある。




今回、ご主人に言われた。



「何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、

 いきなり描き出したから、びっくりした。

 なんかアタリ線とかつけるのかと思ったら、

 いきなりそのまま描きはじめて、

 一気に描いちゃったから。

 本当、びっくりした」



なるほど。



言われてみて初めて気がついた。



いつもそうだし、

何も気にしていなかったけれど。


たしかにそうだ。



「下絵も、まったく見なかったね」



柱に貼りつけておいた「習作」。


言われてみれば、

描きはじめたあと、一度も見返していない。











絵は、頭の中にある。


成功とか失敗は考えていない。


ただ、たのしく描きたいだけ。



子どものとき、

包装紙の裏に描いた

お絵描きみたいに。


初めてでもわくわくする。

初めてだからわくわくする。


そんな感じ。


だから、失敗とか成功とかは関係ない。



たくさんのいい布をいただいて、

こんなに広くてたのしい場所で、

思いっきりお絵描きしていい、なんて。


こんなにありがたいことはない。

そして、こんなにたのしいことはない。





「偶然」が鳴らした警鐘、

猫ちゃん対策。


描画を終えたこの日、

絵の上にブルーシートをかけて帰宅した。










* * * *




<11月18日>:開催まであと5日



たくさんのイスや脚立が、逆にたのしげで、

猫ちゃんたちの遊具になっていないか危惧したが。


お利口な猫ちゃんたちは、

おとなしく、悪さをしなかった。



ブルーシートをめくると、

1枚、また1枚と布をめくり、

描きあげた絵を「解体」した。



1枚めくるごとに変わっていく絵。

一体いま、どんな「絵」になっているのか。

すごくたのしみだった。



設置場所を変えたGoProが、

そのようすを余さず捉えてくれているから。

何も気にせず、次々と布をめくっていった。



あとで完成動画を観るのを

たのしみにして。


わくわくしながら、

布をめくりつづけた。










最後、床が現れて。


養生のつもりで敷いた布は、

布だけに、下に浸(し)みてしまい、

床をたっぷり汚してしまった。



「すみません、汚しちゃいました」


謝るぼくに、ご主人は、


「いいですいいです。このまま行きましょう。

 これも、いいんじゃないですか」


と、やさしく受け止めてくださった。




17日、18日の2日間の記録。

ご主人が、たっぷりな動画を編集してくださって。

出来上がった映像記録がこちらでございます。








https://www.youtube.com/watch?v=50mT8pFfIGY





<11月19日>:開催まであと4日



この日は

私、家原利明の、

誕生日です。



47歳のお誕生日を、

まだ誰も見たことのない景色、

初めて見る景色の中で迎えること。


なんだかそれが、

ものすごくきらびやかなことで、

めちゃくちゃありがたく感じた。



ご主人が、

布をかけるパイプの設置を手伝ってくれた。


手早く金属製のパイプをカットして、

脚立の上で作業する姿は、

先輩というか、

かっこいいお兄さんのような感じがした。




設置されたパイプに、

ぐるり、布をかけていく。



快晴の空が広がる、のこぎり屋根。


布に囲まれた、新しい部屋が現れた。



その中で腕組みしながら、

笑みを浮かべ、満足げにうなずく人がいる。



47歳になったばかりの自分。



誕生日を迎えたばかりのぼくは、

新しい景色の中で、

わくわく胸をときめかせて、

うれしそうに笑っていた。



10年前、いや、5年前、

1年前どころか昨日にすら

まったく想像できなかった景色の中で。




制作をしていて、思うこと。



まだ見ぬものを、

まだ見ぬ景色を、

見せてやること。


他の誰でもない。


自分自身に、見せてやること。




「いいねぇぇ」


ひとりうなずく、ニュー家原利明。



見たことのない、

新しい景色の中で。


誕生日にふさわしい贈り物を

もらった気がした。





















































































































<11月20日>:開催まであと3日



















































































すっかり布をかけ終えたころ。


ちょうど、といった頃合いに、

カメラマンさんからの写真が届いた。


その足ですぐ、

お世話になっている額縁屋さんへ向かった。


お忙しい中、

無理を言っての「駆け込み寺」。



完成した絵の写真と、

習作の絵の2枚の額装。



おかげで作業風景を見ることができ

額装の細やかさ、繊細さを知って、興味深かった。




* * * * *




<11月21日>:開催まであと2日



自宅での作業日。

ようやく固まった内容を、

広報として流す。











今回、広報の時間が

取れなかったことが悔やまれる。


が、それも新たな「試み」。


SNSを中心とした電子通信、

現代文明の利器を借りての広報。



どんなふうに広がって、

どんな反響があるのか。


どんな層に届いて、

どんな層に響くのか。



数字と現実の差異。



分析とかではないけれど、

感覚として、感じてみたかった。


(結果的に、これまでと違った、
 新しい層、新しいお客さんが多かった)



※結論。


どれがいい、という「こたえ」はなく、
それぞれの特徴、それぞれの利点がある。
そんなあたりまえのことを実感。






<11月22日>:開催まであと1日




現場に行くと、作業をしながら、

ご主人が音楽を流していた。



「これ、スティーブ・ライヒじゃないですか?」



開口一番、驚きをそのまま声にした。



「よくわかったねぇ。

 これ流してても、いままで誰も

 引っかからなかったのに」



流れていたのは、

『KUNIKO  PLAYS  REICH
(クニコ・プレイズ・ライヒ)』の中の、

「Six  Marimbas  Counterpoint 
(シックス・マリンバ・カウンターポイント)」。


スティーブ・ライヒ自身の音源ではなく、

加藤訓子氏による演奏で、

名古屋芸術大学での録音とのこと。



そこから少し、ライヒの話、

音楽の話になった。










ご主人の音楽への

造詣(ぞうけい)の深さを感じつつ。


工場内、リズムよく

物が陳列されていることにも納得。


これは『5S運動』の賜物だけではない、と。










整理整頓された工場内。

古びてはいても、居心地がいい。


ここには、ライヒの音楽がよく似合う。






































最後の仕上げと調整。


それも終わって、

明日を迎えるばかりとなった。




怒涛(どとう)の8日間。



それでいてずっと、

わくわくたのしかった。



約1週間、

実質6日間の現場制作。



やってみないとわからない。


やってみて初めてわかる。



やったからわかる、この感じ。




皆さまにも

感じていただけたのであれば、

ギザカワユス。




制作記録だけで

ごっそり長くなってしまったので。



会場記録はまた次回。




長時間のフライト、

おつかれさまでございます。



機長は私、家原利明、

客室乗務員、家原利明でした。



それジャーニィ!










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< 今日の言葉 >



女の子:「くろねこはひとなつっこいんだって」


大人:「へぇ、そうなんだ」「よく知ってるねぇ」


女の子:「ねえ、ひとなつっこいって、なに?」


(会場に来てくれたご家族:娘さんと大人とのやりとり)