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さて今回は、
先回に引きつづき、
会期中の会場記録をお送りする目論見。
『こわすのはかんたんだからね』会場記録。
今回は画像中心にお送りしながら、
「お母さんとお母さんのはさみ焼き」形式で
冒頭と巻末に筆をはさみ込んでいきたく思います。
それではどうぞ、お召し上がりください。
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最終日。
午後2時より、
布の「切売り」を開始。
ほどよく集まっていただいたお客さま。
1枚の布を前にしての争奪戦。
久しぶりに大人のまじジャンケンを見られた。
「ジャンケン、ポン! うあわぁ〜!」
「あいこで、しょっ! よっしゃ〜!」
熱く盛り上がる声を背に、
1枚、また1枚と布を外していく。
仲よく半分こ、という場面もあった。
切売り会のお客さんが去ったあとにも、
ちらほらとご来場者が来てくださった。
最後、29枚中、
26枚の布が旅立って行った。
額装した絵と写真も、
行くべき所に落ち着いた。
皆さま、本当にありがとうございます。
もともと1枚の絵だった、
布端(キレハシ)たち。
最後は、
みんなで「こわした」。
みんなでこわした作品が、
それぞれの場所で、
新たなものに生まれ変わることを
たのしみにしている次第であります。
「偶然」
という言葉が
鍵となったこの展覧会。
本当に、いろいろな偶然で、
このような「仕上がり」になった。
何かが欠けても、よぶんでも、
こうはならなかった(と思う)。
駅から見て気になって、
ご来場していただいた方。
たまたま近くに用事があって、
通りがかった人。
奈良から来てくださったお客様をお迎えしていたら、
渡航ができずに、
日本にいたからかなった夢。
本能で身体が手術を拒み、
一命を取り留めた人。
いろいろな「偶然」。
皆さまも、そんな「偶然」に
身を任せてみてはいかがでしょう。
「裏」ばかり取らずに、
「表」を感じてみませんか。
誰か、ではなく、
自分で決めること。
いつか、ではなく、いま。
いまが「すべて」です。
あるあると
思っていたらば
もうないよ
最終的に、最後の1枚になった布も。
どうやら旅立って行きそうな気配。
新しい偶然を見つけて。
あたしたち、
旅立っていくワ!
搬出の日。
現場に行くと、
きれいに布がまとめられ、
あとは運び出すだけ、という状態になっていた。
のこぎり屋根のご主人が
すっかり片づけてくれていたのだった。
何とも。
ご主人には最初っから最後まで
お世話になりっぱなしだ。
がらんとした「会場」で。
今日までのことを思い出す。
短いようで長かった数日間。
いや、長いようで短かった、のかもしれない。
この数日間の体験は大きく貴重で、
ものすごくいい経験になった。
11月12日の「初日」に見た風景へと
また戻っただけなのに。
どこかがらんとして、
さみしげな感じに見える。
元に戻ったはずだけど、
明らかに何か、違って見える。
床についた蛍光色の「汚れ」だけでなく。
来たときとは何かが、違うはずだ。
そんなことを思いつつ。
荷物を積み込み、
すっかり「終わって」しまったぼくは、
これ以上、いる理由がなくなってしまった。
「ありがとうございました。
すごくたのしかったです。
・・・・それじゃあ、また」
「ありがとうございました」
深々とおじきをするご主人。
その背後には、
猫ちゃんたちが等間隔に並び、
めずらしく3匹、勢ぞろいしていた。
ちょっぴりさみしいような、
そんな甘酸っぱい気持ちを噛み締め、
狭い路地に車を走らせる。
まぶしい太陽。
本当に、すごくたのしい毎日だった。
『こわすのはかんたんだからね』
どうも、ありがとうございました。
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< 今日の言葉 >
「こわすことが駄目っていうふうには、
言ってないもんね。
そこがやさしいなって、思います」
(のこぎり屋根のご主人が、おっしゃった言葉)