2025/07/15

夏休み直前企画 〜作文『20代の自分』〜







♥ 


20代のころのぼくは、

『午後の紅茶』

午前中に飲むほど無頼漢で、

『1日分の野菜』

立て続けに3本飲むくらい、

向こう見ずなところがあったし、

紅しょうがの色がなくなるまで

ずっと口の中で転がし続けるほどの

根性もあった。


毎朝見かける、

陶磁器製のボーダー・コリーの置物に

名前をつけて、

「おはよう、ラスカル」

なんて話しかけるほどの愛情もあったし、

その置物のラスカルが

割れてしまったとき、

7週間ほど泣き明かし、

陶器の破片を拾って埋葬して、

毎月の命日に、

花を手向け続けるほどの

慈悲深さもあった。


白い猫を見れば

「タマ」と呼び、

茶色い縞猫を見れば

チャトラン」と呼び、

シベリアン・ハスキーを見ては

「チョビ」と呼ぶ友人とともに、

おしゃれなセレクトショップで

サングラスの掛け合いっこをして、

昼下がりの陽光を浴びながら、

お互いを褒め合ったりもした日曜日。


夕方すぎには家に帰っていく人々を尻目に、

公園のブランコに乗りながら、

よおし、どこまで天国に近づけるか挑戦だ!

なんて言って、

自分で漕いだブランコで気持ちが悪くなって、

お昼に食べたAランチ定食の

メンチカツの味を思い出したりするような

甘酸っぱい気持ちは、今でも覚えている。


そんな男ふたりで、

わかれ道に立ったまま

8時間もしゃべりt続けて、

お金がないからって

自動販売機のコーンスープをふたりでわけ合って、

缶の中に残ったコーンの粒を、

最後の一粒まで必死になって食べようとして、

欲ばった挙句に缶で前歯を折っちゃった

お前の笑顔が忘れられない。



残り物には福があるって信じて、

毎日終電で帰るほど家に居場所がない

反抗期の自分。

そんな尖った過去を持つ経歴に憧れつつも、

毎日お母さんが作った晩ごはんで、

おかずがなくなってからまた

三杯もお代わりしている自分に、

理想と現実のギャップで唇を噛んで、

一人涙した夜は数え切れず、

数えてたらいつの間にか眠っちゃってたよ、

って、しびれた右手で頭をかいて、

自分の手じゃないみたいだなって感じて、

思わず「かいてくれてありがとう」って

お礼を言ったこともあったっけ。


そんな自分を、忘れたくない。

たとえそんな自分が、

どんな自分か忘れてしまっても、

忘れたくないって思ったことだけは、

せめて一生忘れたくない。


だから、覚えておいてほしい。

ぼくの代わりに、

忘れたくないっていう熱い気持ちを

このさき未来永劫ずっと末代まで。


この思いを

背中に彫ったまではいいけれど、

自分じゃ見えないことに、

彫り終えて家に帰ってから

初めて気がついた連休明け。


かつての自分。


そんな自分を想像しながら、

もうすぐ10代になる自分が、

20代の自分にエールを送る姿を

想像してみる。


が・ん・ば・れ、

が・ん・ば・れ、じ・ぶ・ん!

まけるな、おれるな、

お・ま・え!


「昔の俺は、

 今よりずっと背が高くて、

 ちょうど大仏さまの指の数の

 4.8倍くらいはあったよ」


そんな歯の浮くようなセリフを

さらりと言ってのけるような伊達政宗。

熊にまたがりお馬の恵子。

ああ、次男じゃなくて、長女だったんだね。


今という瞬間はすでに過去。

今は存在しない。

言葉は常に過去である。

これを読む君すら過去なのだ!

「ノーフューチャー」とは、そういう意味だ。


わかったかね、諸君。

地球は僕らの宇宙船。

水と緑の宇宙船地球号。

運転手は君だ、社長も君だ。

シュッシュポポシュッシュポポ。


「いまどきの若者たちに、

 陸(おか)蒸気がどんな乗り物だったか

 説明するほど野暮じゃないけど」


当たって砕けろ。

恋は直球ストライクゾーン。

トワイライトなスクールゾーン。

外角高めのフリースロー、

摩擦の力で軌道を変えろ。


歴史という名のストーリー。

化学反応ミステリー。

ヒステリーなヒストリーを

スウィートなストリートで

ストレートにささやくアスリート。


愛の調べ。

当社調べ。

誰の下僕。

俺の屍。

またいで歩けば明日がある。


明日は明日の風が吹き、

今日は京都で笛を吹く。

ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、五条の橋の上。



これぞしらふのナチュラルパワー。

永遠に埋めておきたいタイムカプセル。

それはもはや埋葬。

ご大層なラジオ体操。

無理な方は、

イスに座ったままの姿勢でどうぞ。


そんなわけで。


皆さまの時間を奪い去り、

したたかに灰へと変える盗人、

怪盗華麗パン。


隙間を埋めるはずの器械で

よけいに隙間を広げちゃってる

子羊ちゃんたちに。


ラブ・アンド・ピクルス♡(既読)


大丈夫、

古くなったんじゃないから。

多少の酸味は大目に見てネ♡



・・・以上、

現場からお送りしましたとさ。


めでたしめでたし




< 今日の言葉 >


「最近、

 いろいろなことがわからんくなる。

 脳みそが足りんくなって

 きとるのかな。

 毎朝、味噌汁飲んどるのに」


(80歳になった母が真剣な顔で言った言葉)