2015/08/10

愛知県美術館、2015夏







愛知県美術館での展示が終わった。


怒濤のように搬入、設営し、

嵐のように撤去、搬出をした。



今回、会場にいることが少なかったため、

来てくださったのに会えなかった方も

たくさんおられたかと思いますが。


家原はいつも、

みなさまの頭上で輝いておりますので。

夜、そっと心の小窓を開けてご覧なさい。

きっと天使のような家原の笑顔に

会えると思いますから・・・



ご来場いただいたお客さま、

暑いさなか、本当にありがとうございました。


後日、芳名帳を確認して、

まだ見ぬお客さまのお顔を想像し、

なじみのお客さまのお顔を思い浮かべ、

そっと頭(こうべ)を垂れるつもりでおります。








会場当番の朝。

地上から見上げた美術館の風景は、

まるでニューヨークの摩天楼のようだった。












朝の、開館前の美術館。

関係者入口から入った美術館は、

館内のあちこちから掃除機の音が響いていた。


「おはようございます」


掃除をする人や、

守衛さんや係員の人に挨拶をしながら

展示室へと向かう。




設営から日をまたいで見た自分の「作品」。

色が、きれいだなと思った。













今回、展示した「作品」。


111枚の作品と、手ぬぐいを入れた額を2枚、合計113枚。

113枚の作品を現場に持って行って、

そこから50枚の作品を選んで並べて配置した。



50という数も、

あとで数えてみて50枚だっただけで、

特に決めていたわけではない。



50枚の絵画作品に、

《家原利明2009-2015》という

作品タイトルの額を加えた、51作品。


赤い布に、

50枚+1の作品を並べて飾ったこのかたまりが、

今回の作品だ。


設営の時間内に、

見て、並べて、眺めて。

あれこれ考えながら、

現場でつくった作品。


一度、壁に自分の作品を

ぎっしり並べてみたかったので、

今回、それをやってみた。



タイトルの額には、

説明の代わりに、

絵を描くのに使った油絵具のチューブと

使い古した筆と、

短くなった色鉛筆を飾り、

初めての個展のときの案内はがきを配置した。



2009年から2015年までの歩み。

6年間の、自分の成長記録。



2009年。


それは「活動」をはじめた元年だ。



ほかの誰よりも稚拙で、

無計画な展示だったかも知れないけれど。


やりたいことをやれたと思う。























家では巨大に見えた、

縦2メートル10センチ、

横6メートル40センチの赤い布も。

美術館の展示室では小さく見えた。


そう感じたことを

お客さんのひとりに話すと、


「いや、小さくはないと思いますよ」


と、おっしゃられた。



色が明るくていい、とか。

模様がきれい、だとか。


お客さまはみな、やさしくて、

うれしいことばかりおっしゃってくれた。




会場当番の1日だけではあったけれど。

美術館に来られたお客さんと言葉を交わし、

いろいろな感想を聞いて、

いろいろ感じることができた。


笑っている顔をたくさん見れて、

ああ、よかったな、と思った。



お客さんからだけでなく、

会場当番で一緒になった先輩方から、

貴重なお話をたくさん聞けたこと。


それもうれしかった。


お客さんの言葉も、

先輩方の言葉も。


どちらもすごく実になった。




美術館の人も親切で、

絵のタイトルを記した紙を入れるための、

クリアケースを貸していただいた。



あちこち探していただいて、

快く貸していただけたことがうれしくて。

よろこびいっぱいに事務局を退室して、

扉を開けると、

うそみたいにまた、

いま出たばかりの事務局に戻った。


「あれっ? ぼくって、どこから来たと思います?」


そんなとんちんかんな質問をする

おちゃっぴーな家原に、


「すみませんね、似たような扉ばっかりで。
 たぶん、そちらだと思います」


と、少し笑って帰り道を教えてくれた。



バックヤードでも、

あちこち歩いて迷子になりかけたとき、

守衛さんが「しょうがないなぁ」と言って、

迷子のぼくを先導して歩いてくれた。





本当に、ご迷惑をかけてばかりの家原を、

みなさまがあたたかく見守ってくださっております。










愛知県美術館での展示。


ご来場のお客さま、

本当にありがとうございました。



いつかまた、

美術館で展示するときには、

館内全室の壁という壁を、

家原の作品で埋め尽くしたい・・・

なぁんて♡

そんなことを夢見つつ、

マジで閉会の辞とさせていただきます。




以前にもご紹介したかもしれませんが。

最後に、フンデルトヴァッサー氏の言葉をここに引用します。



『美術館へと向かう足が跡を残した線は

 美術館に展示されている線より

 大事なもの』



以上、ご清聴ありがとうございました。





家原十三代目 家原利明(いえはらとしあき)


< 今日の言葉 >

「地獄を見たことがあるか、
 それとも、天国しか知らないんじゃないの?」

(2015年7月30日の記述より)