2008/10/19

思いつき




先日、ふと思ったことがある。

それは「思いつき」についてだ。




思いついたことを「思いつき」に終わらせず、
実行に移していくと、
次から次へと新しいことを思いつくようになる。

逆に、思いつきを思いつきのままで放っておくと、
おもしろいことも浮かばなくなる。

もしかすると「思いつき」たちにも、
意思のようなものがあるのかもしれない。




司馬遼太郎氏の作品の中で、


「刀の刃は、抜きすぎても(見せすぎても)威力がなくなるし、
 抜かなすぎるのも錆びて使い物にならなくなる」


というような言葉があったけれど。


たしかに。

何でも使わなければ、さびてしまう。

言うとおり、思いつきだけに頼って生きるのは
危なっかしい気もする。




けれどもやはり、綿密な計画を立てて、
計画どおりに生きるだけの毎日も、何だか味気ない。


犬も歩けば諸星アタル。

光GENJIは諸星かーくん。


これも、思いつきをそのまま書いてみた結果だ。
・・・やっぱり、思いつきだけじゃあ危険すぎる。





学生のころ、「何でもやってみ隊」という名の
チームを結成していた。

とはいえ、メンバーは僕を含めた3人。

僕以外の2人は女の子で、
うち1人は「補欠」という何ともスカスカなメンバー構成だった。


この「何でもやってみ隊」というネーミング。

言うまでもなく、「やってみたい」という願望と
「隊」をかけているのだが。

それだけでなく、「何でもやってみ体」という具合に、
それが「体質」となることを目的としていた。



思いついたことは何でもやってみる。
そんな基本理念の上に成り立ったチームなのだ。



以前、このページの『あだ名』(08年5月27日付)の項で、
自分が「リーダー」と呼ばれていることについて書いたように思う。

あだ名の由来を待ちわびていた奇特な方へ。
どうも、おまっとさんでした(キンキン風に)。



僕がリーダーと呼ばれるその由縁は、
この「何でもやってみ隊」の前身である
「エンジョイ・ラッキー・スター」というチームの
「リーダー」を務めていたからだ。


正規の隊員1名、
補欠1名という小所帯の「リーダー」。

まさに、名ばかりの「リーダー」でしかないのだが。

彼女らが呼ぶ「リーダー」という呼び方が広まって、
自然とクラス内外での愛称となり、
次第にあだ名として定着したのだ。

そしていつしか、初対面の人まで「リーダー」と呼ぶようになっていた。



学生時代の友人と海外に行ったときなどは、
ある意味、大変だった。

握手を交わし、自己紹介をするとき。

僕の名前は、スズキとか、ナカタとかいった感じに
欧米で通った名前ではないので、
本名では、名字も名前も発音しにくく、覚えにくそうだった。


そのうえ、友人たちがすでに「リーダー」と呼んでいる。

そんなことも助けて、「コールミー、リーダー」という格好に落ち着く。

すると、必ずと言っていいほど返ってくるのが、


「リーダー? きみは社長なのかい?」


という質問だった。


僕のつたない英語力では、
「リーダー」というあだ名の由縁をうまく説明することができない。

できたとしても、説明するのがひどくバカバカしく思える。

その理由を伝えるでもなく、軽くお茶を濁して終わっても。
どうしても気になって仕方ないという感じで、
あれこれ言い回しを変えながら、しつこく聞いてくる人もいた。

このときばかりは、
口からでまかせに思いついた「うそ」を織り交ぜながら、
その場をなんとか切り抜けていった。


こんなときにもやはり、「思いつき」は役立つものだ。



話は戻って。


「何でもやってみ隊」の活動内容は、というと。

本当に、他愛のない「思いつき」ばかりだった気がする。



アフロヘアのカツラをかぶり、顔にドーランまで塗りたくって。
70年代風の黒人の格好をして、電車の乗り込んだり。


トイレットパーパーに火を点けて、
その火よりも速く走れるかどうかを競ったり。


あるときはただ「おいしいパフェを探し求める」とか言いつつ、
何軒かの喫茶店を回ってみたり。


風景画を描くために、
テントや寝袋まで持参して小旅行をしたこともある。

絵に没頭するあまり辺りが暗くなり。
寝る所を探しまわったあげく、
何とか見つけた感じのいい場所にテントを張って。
朝、目が覚めてみるとそこは畑の中で、
朝早く登校する小学生たちに「いじられた」記憶もある。

どこの小学生も好奇心旺盛なのは同じだろうが。
田舎の小学生の正直さ、素朴さには勝てない。
彼らの遠慮のない「制裁」に、寝起きの僕らはなすすべもなく、
苦笑いするしかなかった。

こういう言い方も変だが。
本当に「子どもらしい子ども」ばかりだったように思う。



「何でもやってみ隊」。


その経験が、体質となって残っているのかどうかは別として。



「思いついたことを全部やらないと、思いつきがかわいそう」



そんなふうに思った。


もちろん、躊躇なくやってしまってはいけない種類の
思いつきもあるはずだけれど。

やる前に結果を決めつけてしまう真似だけはやめにしたい。



「食う前にマズいって言うな」



これは昔、父がよく言っていた言葉だ。


そんな「教育」もあってか。


20代後半になっても、僕は、
思いつきに対して「素直」だった。


どしゃ降りの雨を、
どうしてもシャワー代わりにしてみたくなった僕は、
素っ裸で外に出てシャンプーをした。

まだ肌寒い季節の真夜中だったけれど。

バカな僕は、風邪も引かずに頭を洗い終えた。





< 今日の言葉 >

ダイエーのエスカレーターでのこと。

「あたし、パンツが欲しいんだけど。ちょっと見てっていい?」

おばあちゃんの言う「パンツ」は、本気の「パンツ(下着)」のことだった。

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