2008/04/17

職人






頭のすみっこに、
いつもずっとあるフレーズ。

そのひとつが「職人」という言葉だ。

職人とは、
いったいどういう人のことを言うのか。
これまでに何度となく考えてきたけれど、
最近ふと思ったことがある。

職人とは、
積み上げていくのではなく、
深く掘り下げていく人たちのことを
言うのではないか、と。

そんなふうに思った。


年季を重ねても器用にならず、
ひとつひとつの「仕事」が「作業」にならず。
つまり、ルーティンにならない。

パン職人、陶芸家、調律師、板前……
例を挙げたらきりがないけれど。
職人は、その日その時の気温や湿度、
その日の材料などを吟味しながら、
目指す形へと近づけていく。

たとえ仕上がる「もの」は同じであっても、
ひとつとして同じ仕事はしない。

そう。

まさに材料との対話を繰り返しながら、
ぶれることなく、日々闘っている。

材料と闘い、制約や伝統と闘い、
そして自分自身と闘っている。


職人は「目的」を手段に
合わせることがない。
「目的」に合わせて手段を選ぶ。

『こうした方がカッコいいから』

なんて理由で、
ダイコンにかくし包丁を
入れたりはしない。

『流行りの材料を試してみたいから』

なんていう動機で、
パンに新しい味覚を加えたりはしない。


行動すべてに意味があり、無駄がない。

…と、これはあくまで
個人的な意見なんだけれど。

臨機応変、
引き出しの多さで壁を乗り越え、
創意工夫をこらしながらもまっすぐ、
目標に向かって突き進んでいく。

職人は、難しいことをさりげなく、
苦労や努力のあとを見せずにやってのける。

粋(いき)という精神が根付いている。
だから職人は格好いい。

その仕事ぶりとともに、
人を惹きつける魅力がある。

格好は「つける」ものではなく、
本当の意味での格好よさは、
行為のあとについてくるもののような気がする。


自分もいつか、職人になりたい。

え? 
いったい何の職人かって?

その答えは、風の中さ。
風が知ってるだけさ〜♬。