はっとして目を開ける。
「あれっ? お寿司・・・」
ゆれる地下鉄の中。
A男は座席に座っている。
「ああ、B子・・・」
彼女はA男の肩に頭をあずけたまま、
ぐっすり眠りつづけていた。
「む?」
異変に気づいたA男は、
遅れて自分が置かれた現実をさとった。
数カ月の出来事。
それがすべて夢の産物だと。
『ストレンジャーナイト2』
手にした映画のパンフレットが、
浦島太郎の逆のような時間旅行を
種明かししてくれた。
がっくりとうなだれた視線の先。
B子ならぬ彼女の膝の上には、
したたかに垂らしたA男のよだれが、
大きな池をつくっている。
やばい!
どうしよう。