#27




はっとして目を開ける。


「あれっ? お寿司・・・」


ゆれる地下鉄の中。
A男は座席に座っている。


「ああ、B子・・・」


彼女はA男の肩に頭をあずけたまま、
ぐっすり眠りつづけていた。


「む?」


異変に気づいたA男は、
遅れて自分が置かれた現実をさとった。



数カ月の出来事。

それがすべて夢の産物だと。



『ストレンジャーナイト2』

手にした映画のパンフレットが、
浦島太郎の逆のような時間旅行を
種明かししてくれた。


がっくりとうなだれた視線の先。


B子ならぬ彼女の膝の上には、
したたかに垂らしたA男のよだれが、
大きな池をつくっている。


やばい!

どうしよう。