2020/10/29

旧林家住宅 一宮市尾西歴史民俗資料館にて









10月25日。

家原利明氏参加の合同展が、

大盛況のうちに、無事、幕を下ろしました。


今回も遠路はるばる足を運んでくださったお客さま、

ご近所からふらりと訪れてくださったお客さま、

何かのついでに立ち寄ってくださったお客さま・・・。


ご来場、本当にありがとうございました。



「来たかいがあった」


「来てよかった」


「肌のツヤが10歳若返った」


・・・等々。


感想に個人差はありましょうが、

みなさまが喜んでいただけたことを、

うれしく思っておる次第です。


また、今回を期に、

歴史民俗資料館へ初めて訪れた方、

初めて知った方。


ぜひ今後とも、

足を運んでいただければ、と思います。


秋や春、夏の日差しや冬の寒さなど。

感覚は、現場でしか体感できませんから。


家原利明氏の描いた襖(ふすま)や作品が取り払われた、

通常の建物も味わっていただきたく思います。



今回、行こうと思っていたのに来られなかった方、

行こうと思って出発したものの、

いまだ到着できていない方など、

多種多様の方々がおられることと思います。


そうです。

それが現代社会。


自分の意志に従って、

自分の時間を何に使おうが、自由なのです。


みなさまが

自由を謳歌(おうか)してこその、

この浮世。


だからこそ、ここに記します。


家原利明 in 旧林住宅。


どうぞごゆっくり

ご堪能(たんのう)ください。












襖 <山>:1,765×1,118(×2)
/合板に合成樹脂塗料








<ぶっちぎり>:307×910
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ



















襖 <なだらかな山>:325×888(×2)
/合板に合成樹脂塗料




<夢見る蛸(たこ)>:240×240
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ




<閃(ひらめ)きの瞬間>:240×240
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ




<フルーツバスケット>:240×240
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ




<若かりし日の自由の女神>:240×240
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ


















<富士と松>:340×340
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ




襖 <木の下で>:295×888(×2)
/合板に合成樹脂塗料






<やさしい犬>:290×290
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ




<たのしまなくっちゃ>:290×290
/合板に色鉛筆、ニス仕上げ




<人形>:左・H97×W53×D16 右・H94×W54×D14
/パーラービーズ®(Parler Beads®)




<赤い車>:H35×W24×D74
/パーラービーズ®(Parler Beads®)







































* *



今回の合同展では、

いちばん奥の、いちばん広々とした「奥座敷」を、

家原利明氏が使用しました。


蘇比(そひ)のような、

濃い山吹色の壁の、二間の和室。


この会への参加が決まったあと、

2月、4月、8月・・・と、何度か会場へ足を運び、

下見、採寸を繰り返しました。


とはいえ、全体の完成像は、

最初に会場を訪れた、

初見の5分で浮かんでいました。


「あとはいかに、

 その『絵』を忠実に具現化するか、である」


と、家原利明氏は

おっしゃっています。




















今回の場所は「住宅」。

もともと人が住み、生活していた空間です。


ということもあり、

時間の移ろい、自然光との関わり、

庭の景色との調和を考えました。


会期中、快晴の日もあれば、曇りの日もあり、

雨の日もあれば、風の吹く日もあり。


ガラス戸を閉めたり、開け放ったり。


朝の、青々とした低い光。

日中の、白銀に輝く光。

午後の黄金色の光と、

黄昏時の、赤みを帯びた斜めの光。


部屋の3面を囲む

ガラス戸から差し込む光と干渉して、

室内の畳や壁が、

時間の色に染まっていきます。


天候によっても、

光の色は変わります。


光が変わること、

それはすなわち、

見える景色が変わることです。


会場には、最小限の照明のみを配し、

あくまで「家」としての空間で、

移ろいゆく景色と絵画を

たのしんでもらいたい、と。


家原利明氏は、

今回、そう考えたようです。



旧林住宅。


それがどんな建物なのか、

歴史や成り立ちは、

ほかの方の記述に任せるとして。


会場となった旧住宅のようすを、

画像で見てみましょう。




























































































* * *



会期中、別の仕事があった1日を除いて、

家原利明氏は毎日、会場におりました。


それは、これまでの展覧会でも同じことですが、

毎日、会場にいるからこそ感じられること、

味わえる瞬間があるのです。


変化や発見、出会いや驚きなど、

些細なものから目を見張るようなものまで、

事の大小に関わらず、

それは、毎日やってきます。


何の約束も合図もなく、

それは、やってきます。


何年も毎日を繰り返していると、

次第に「それ」が分かるようになります。


「それ」はけっして派手でも華やかでもなく、

偉ぶってもおらず、物静かで、

言葉少なにやってくることが多いです。


今回も、奥座敷の間にじっと座って、

家原利明氏は、それを感じておりました。


見落としたり、

取りこぼしたりしないように。


それでいて欲ばったり、

慌(あわ)てたりしないように。



たのしいことを、たのしむこと。



気づかなかったり、

気づきにくかったりするだけで。


大切なものは、いつも、

すぐそばに、あるものです。
















































































お土産コーナーで販売した、家原利明特製手ぬぐい
<世界宇宙>と<いやん>





* * * *




市内、市外、県内、県外、

東京や福岡、そしてご町内から。


遠路でも近所でも、

みなさんの足どりは、尊いものです。


会場にいると出会える「奇跡」のようなできごと。


約束も示し合わせも何もなく、

偶然、知り合いどうしが、

会場でばったり出会ったり。


いましがた話していた人が、

すぐあとにひょっこり現れたり。


何年ぶりだとか、なぜか今日にしたとか、

もしあと少しずれていたら

すれちがっていた、とか。


不思議なくらい、

そんな「偶然」がよく起こります。


電波の時代になっても、

人のこころは、

人と人とをつなぐ、

見えないテレホンカードなのです。



・・・・全然、


うまく喩(たと)えられなかったので、

このへんで失礼することにします。



最後に。


会期中、おしゃべりしてくれたたくさんの方々、

会場に来られたお客さまをはじめ、

お忙しい中、声をかけてくださった職員の方々、

会場におられた作者の方々。


たのしいおしゃべりを、

ありがとうございます。


照れ屋で、はにかみ屋の家原利明氏に代わって、

私、家原利明がお礼申し上げます。



この度はどうもありがとうございました。

また次回、どこかでお会いしませう。























< 今日の言葉 >


「しってる? しあわせっていうのはね、

 うれしいことが、まいにちつづくことだよ」


(知人のお子さんである、5歳の男の子が言った金言)