2017/03/29

東京展の回顧録








東京にて開催されたグループ展。


5日間という短い期間でしたが、

ご来場いただいたお客さまに感謝申し上げます。


また、広報にご協力していただいた方々に、

厚くお礼申し上げます。



遠方よりはるばる足を運んでいただいたお客さま、

わざわざお越しいただいたのにお会いできなかった方々。


今回、毎日会場に滞在していたわけではなかったので、

お会いできなかった方が大半で、

その点がひどく心残りの展覧会でした。

















絵を描くのが好きだし、

絵を描くのはたのしい。


けれども、ときに迷子になる。



ふだん、絵を描いている時間はひとりの時間で、

言ってみれば、制作中は孤独な時間の連続だ。


毎日、ひとりで制作していると、

自分の「大きさ」とか、

自分が「どこにいるのか」とか、

自分の寸法やかたち、

現在地が分からなくなることがある。



そんなとき、

お客さまや友人知人、

かつての教え子などの「声」に、

励まされたり、鼓舞されたり、ふふっと笑ったり。

ちょっとした会話やお便りに、

すすぎ清めてもらったような気持ちになる。












展覧会ではいつも、

いろいろな人に会って、いろいろなお話をする。


近況報告だったり、失敗談だったり、

お悩み相談だったり、絵の感想だったり。


他愛のない話が、

いつのまにか栄養になっている。



自分の絵を前にしてお客さまと話す時間が、

すごく贅沢な時間なんだということに、

今回、あらためて気づかされた。


そして、遠方でも近場でも関係なく、

「行きたい」と思っていただいて、

わざわざ足を運んでくれるお客さまのありがたさ。


ひとり、絵を描いていると、

つい見失ってしまいがちな、頼もしい存在。


そんな存在の心づよさに、

ふとした瞬間、気づかされる。











道しるべも何もなく、

草や枝がいっぱいで道すら見えないような「けもの道」。

いくらか歩いて、

ふり返ると少しばかりは、

道らしくなっているような気がしないでもないけれど。


前を見れば、相変わらず

草や枝や木々がうっそうと生い茂っている。


ここは、どこなんだろう。

もう、どのくらい歩いたんだろう。

こっちで合っているのかな・・・。


迷子になりかけて、

うろうろしているとき。

きれいでいい匂いのする花や、

たのしげにさえずる小鳥の姿や、

ときにはあたたかな火の灯った小屋のように、

みんなの「声」が導いてくれる。


そう。


いつもそうやって歩いてきた。

そんなことすら意識することもなく、

ただただたのしく、

口笛を吹いて歩きつづけてきた。


ひとりでも、

いつもひとりじゃあない。












今回、東京で、

かつての教え子たちと「待ち合わせ」をした。


1組目は、

東京で絵を学ぶ子と、

地元で働きながら制作をしている子。


2組目は、

東京でそれぞれ働く、2人の子。


みんなそれぞれ、

それぞれの時間を、

それぞれの場所で、

それぞれの境遇をすごしている。


時間は、みんな同じ。


けれどもみんな、

ちがう時をすごしている。



変わったようで、

変わっていないことに、ほっとして。


変わらないようで、

変わったことに頼もしく感じて。


みんな、がんばってる。



それぞれの時間が

ちょっとだけ重なる、その瞬間。


自分の大きさとか、かたちとか、

今いる場所とかそういうものが、

不意にはっきり見えたりする。


比較というより認識。

人を介して自分の鏡像を見るような、

そんな感覚。












ふだんの生活でも、

ちょっとしたときに、

ちょっとした時間を交換する。


料理やお菓子、家具や音楽、

会社や事業、子育てやアルバイト。

それぞれの道を歩んでいる、

頼もしい「友人」たち。


絵を描いているとき、

そんな「友人」たちのことを思い浮かべて、

色やかたちを描いている瞬間もある。



人と会うために絵を描いているわけではない。

けれども、絵を見て心がゆれる、

その姿をたくさん見たい。


だからこれまで、

できるかぎり「現場」にいて、

それを味わってきた。


















今回、なぜ物足りなさや、心残りを感じたのか。


そう思ったとき、

そんな動機や衝動を、

あらためて再確認した。





場所は、人がつくるもの。

時間は、人が彩るもの。


まじめくさるつもりはないけれど。


自分がたのしいと思えることを、

全力100でやりたい。


本気でたのしんで描いた絵を、

たのしんで見てもらえると、うれしい。





絵は、描き終えたときが完成なんじゃなくて、

観てもらっているときだけ

完成しているものなのかもしれない。


だったら、完成している絵を見ていたい。


できるかぎり、

少しでも多くの時間、

それを見たい。



何でも自分で感じてみなくちゃ、

分からないからね!




・・・って、まったく。

どうしちまったのかしらね。


東京の風に吹かれて、

ちょっとおしゃれなことばかり

言うようになっちまったのかもしれないわね。






気を取り直して最後に、

東京の風景を3つ、お送りします。



『ローヤル珈琲店』の天井と、

「江戸橋」の高架下と、その近辺の風景です。





それでは、

どうもありが東京!
























< 今日の言葉 >


A「うちのおじいちゃん、LINE(ライン)やってるんだ」

B「へぇ、すごいね。若いね、おじいちゃん」

A「うん。でもさぁ、おじいちゃんのまわり、
  LINEやってる人なんていないから。
  結局、私とかお母さんしかLINEする相手いないんだ」

B「たしかに。まわりはみんな、おじいちゃんだもんね」


(バスの中で聞いた、女子高校生2人の会話より



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