2008/11/12

まめ



「おにはそと」(2010)







『ペルー・インカ文明の旧都市
 クスコから奥に入った
 ウルバンバ村の
 限られた地域でしかとれない
 とうもろこしを
 カリッと揚げました』


いきなり何の話だ。

そう思われる方も
おられようが。

これは、
あるジャイアントコーンの
袋に書かれていた説明文だ。


ジャイアントコーンといっても、
かつてジャイアント馬場氏が
CMでやっていた
アイスのことではない。

アンデス地方などが原産の、
干したトウモロコシのことだ。

まさしく
「ジャイアント」な粒のトウモロコシで、
日本では「おつまみコーナー」などでも
見られる一品だ。

おつまみの、
いわゆる「乾きもの」コーナーには
いろいろな「豆」がある。

ピーナッツをはじめ、
カシューナッツやピスタチオ。

各種の豆類にまざって、
ヒマワリの種やカボチャの種なども
売られている。

あくまで僕個人の、
感覚的なくくりでは、
ヒマワリやカボチャの種も
「豆」類に属している。

もちろん、ジャイアントコーンも。

口に入れ、
食するという点では、
各種の「種」も、
ざっくりと「豆」のなかまに
入れてやらなければ落ち着かない。

同じく種でも
「柿の種」となると、
当然、話は別だ。

あれは優秀な
「スナック」ではあっても
「豆」ではない。

とはいうものの、
ジャパニーズ・パーフェクト・
おつまみではある。


さて。

先日、件(くだん)の
ジャイアントコーンを食べていて、
ふと思った。

70グラム包装の
ジャイアントコーン。

もともと保存食だけあって、
賞味期限もそこそこ長い。

未開封で半年は保つ。
商品によっては90日と
いうものもあるようだ。

このジャイアントコーン。

災害時用のリュックサックに
入れたい一品だと思った。

まぁ、
そんなリュックサックを
持っていればの話だが。

とにかくそれくらい
優秀な「食料」だと思った。


「まめ」。


友人の子どもが
初めて発した言葉も「まめ」だった。

「まめ」ってすばらしい。

「まめ」という音の響きだけでも
「豆」って感じがする。


父親や祖父母は大阪人なので、
炊いた(ゆでた)豆のことを、

「おまめさん」

と呼んでいた。

たしかに、
敬意を示したくなるのが
「豆」のすごさだ。


節分の豆も、納豆も、
おせちの黒豆も、レンズ豆も、
インゲン豆も、ひよこ豆も。

みんなそれぞれ同じ「豆」でも、
みんな違う。

そしてどれもが、
それぞれおいしい。


豆は、
造形的にもすばらしい。

ガウディ氏を
気どるわけじゃないけれど。
自然という「造り手」には
頭が上がらない。


「最期に食べたいものランキング」
(僕のなか調べ/2008年度)で、
いつも上位に食い込んでいる「ナチョス」。

ナチョスには欠かせない
「チリビーン」も、豆だ。

あの、レッドキドニービーンズの
絶妙な味わいと言ったら。

それをプレーン・
トルティアチップスにかけて、
モッツァレラチーズをのせて
オーブンで焼く。

ああ、ナチョス。
Marabilloso, nachos.

いつかメキシコ人に
なれたらいい。


最近、おみやげでもらった
「豆」にも驚かされた。

アルミ包装された
『ゆでピーナツ』と『えだまめ』。

冠に『海洋深層水で作った』と
書かれている。

この「豆」のすごいところは、
防腐剤や保存料などの添加物を
いっさい使わず、
包装技術のみで挑んでいるという点。

『ゆでピーナツ』に関しては、
調味料(アミノ酸等)をも使っていない。
まさに「豆そのものの味」で勝負しているのだ。

また「ピーナッツ」と言わず
『ピーナツ』と言っているところも潔い。

「ピーナッツ」と「ピーナツ」では、
耳に飛び込んでくる「速さ」が全然違う。

この袋に書かれている
文章(コピー)も隙がなく、
“ 無駄 ”な要素がまったくない。

また、袋の「開封口」も
2段階に刻まれ、
後半、残り少なくなった豆も
やさしくつまめる。


「デザインは思いやり」


お豆さんのことを熟知し、
愛しているからこそ、
この「2段階開封口」が
生まれたのだろう。

さすが大手鉄道会社が
販売商品に採用するだけのことはある。


こうして書きながら
飲んでいるコーヒーも、
やっぱり「豆」だったりするわけで。

気づくと生活のほとんどを、
お豆さんに支配されている状態だ。


おそるべしお豆さん。


ちなみに温泉街の
ストリップ劇場で、
外国人ストリッパーが、

「エダマメクロマメ〜」

とカタコトの日本語で、
何度も繰り返し言っていた。

外国人までもが口ずさみたくなる、
魔法の言葉。

それが「豆」の力。

小さな粒のなかに詰まった、
豆の魅力。


ちなみに「忠実立つ」と書いて
「まめだつ」と読みます。

これは、まじめになる、
または、まじめくさくふるまう
ことを言います。


最後は豆に関する
「豆知識」で締めさせて
いただきました。

本日はお忙しいなか
お集まりいただき
誠にありがとうございました。


< 今日の言葉 >

「・」(なかぐろ)は、口もとにあるホクロのようなものだ。
付けようによっては何だかセクシーになる。

参考例/『パ・イ・菓・子』

(新宿中村屋「ちーず あん チーズ」)