2020/11/21

視覚的旅行記:泰国(タイランド)1日目









昨年、タイへ旅行に行った。 


パスポートの期限が切れていたので、

パスポートを再申請することから始まった。


10年(赤)のパスポート。

今後10年間、付き合うことになるわけだ。


ということで、

美容院へ行き、きれいに髪の毛を整え、

一張羅(いっちょうら)を片手に写真館へ。


わたくしの一張羅、すなわち学生服。








免許証の更新ときは、

自宅から上下、学生服を着用して行ったが。

今回は、上着だけを持参して、

写真館の入口をくぐった。


旅券用の写真をお願いしたいと告げ、

いざ、撮影。


「あ、ちょっと待ってください」


そう言って、

学生服を羽織るぼくを見ても、

表情ひとつ変えない撮影者の女性。

さすが、プロである。


撮影者の女性が、

上着(学生服)の肩のゆがみなどを直してくれて、

パシャリ、パシャリ。

撮影終了。


待つこと20分ほど。


出来上がった写真を見て、

思わず苦笑いののち、赤面しそうになった。


旅券用の証明写真。


そこには、

首から下の、学生服の部分は、

まるで、といっていいくらい、

収っていなかった。


久しぶりすぎて、

仕上がり(トリミング)のことを忘れていたが。


出来上がった写真は、

黒い服を着た、

ただの四十路男の肖像だった


金(きん)ボタンどころか、

肩も入っていない。


ついでに髪の毛も、収まっていないが。


詰襟(つめえり)部分も、

写真で見たかぎりでは、

ただの丸首シャツに見えなくもない。


それなのに。


撮影者の女性は、

笑いもせず、何も言わず、

肩のゆがみまできちんと直してくれて、

真顔で撮影してくれた。


そのことを思い返すと、

出来上がった写真を見て、

ますます恥ずかしくなった。








そんなんだったら、

免許証の更新のときみたいに、

家からばっちり着ていくべきだったと。

お会計をしながら、ひそかに歯嚙みした。


ちなみに免許証の更新のときは、

公共交通機関で行ったにもかかわらず、

たいして注目されたり、

咎(とが)められたりすることもなかった。

(と、自分では思っている)


ただ、視力検査のときに、

緑色の制服を着た

陸上自衛官の方々の団体に

ひとりぽつんと混ざってしまい、

おなじ制服どうしでも、

ぼくとのあいだに

なんだか妙な空気が漂っていたことは、

否めない。


とはいえ、

大きな反響もなく。


受付をしてくださった

運転免許試験場の職員の男性が、

ぽつり、


「いまの人、学生服だったよなぁ?」


と、別の職員さんにこぼすのを

背後で聞いたのみだった。



閑話休題。



かくいう次第で、

あわてて取得したパスポートを持って、

いざ、タイランドへ出発。


ここからは写真を中心に、

タイランドの風景をお伝えします。


おそらく、

数回にわたっての記述となりますゆえ、

今後ともお時間の許すかぎり

お付き合いくださいませ。






第1日目。


タイの空港に到着。


フランスやイタリア、

韓国へ行ったときとおなじく、

まるで文字が読めない。


意味が、わからない。


英語圏なら多少の意味は判別できるが。

タイ語は、見ても聞いても、

まったくわからない。


それがおもしろい。


韓国語がみんな記号に見えるように、

タイ語はぜんぶ、模様に見える。

























うろうろしながらようやく、

入国審査の列に着いて。

にぎやかでたのしげに話す人たちの

後ろに並んだ。


その人たちは、

ベトナムから来たとのことだった。


すてきなシャツですね、とか話していると、

その人たちの仲間が

次から次へとやってきた。






おなじ団体だから、ということで、

どうぞどうぞと先にうながしていたら、

あっというまに、

どんどん後方へと押し流されていった。



ただでさえ、

空港内をうろちょろしまくって、

たくさんの集団に追いこされて。


そのうえ、

たくさんのベトナムの方々に

先を譲ったおかげで、

えらく時間が経ったにちがいない。


タイと日本の時差は、

マイナス3時間。


つまり3時間、

時計の針が「戻った」わけだ。


タイの時計で12時30分でも、

今日、朝起きてからの、

実質的な時間は「15時30分」。


お昼ごはんじゃなくて、

もう、おやつの時間だ。


そんな「時差」のせいもあってか、

どれくらいの時間、空港内にいたのかも

よくわからない。


タイの初日を、空港内だけで

終わらせるのではないかという勢いで。


・・・とにかく、

見るものすべてに興味をそそられて、

あちこち動き回っていた。



こういうところが、

集団行動に向いていないのだな、と。

つくづくそう感じる。



ようやくにして入国。


タイに「着いた」というわけだ。



そこから、バンコク市内の、

エカマイという場所に向かうのだが


何もわからず、

ただ、人の流れに乗って歩いてみる。


と、うまい具合に、

バス乗り場へ到着した。


















バスの乗り方もよくわからなかったが。

とりあえず乗りこみ、

ぎゅうぎゅう奥へと押し流される。


車内を歩き回る車掌さんらしき人に、

みんながお金を支払っているのを見て、

見よう見まねで紙幣を差し出す。


すると車掌さんは、

長く連なった、

切手のようなもの取り出した。


そしてそれに、

円筒形の金属の、細い茶筒のようなものを

閉じたり開いたりして挟んで、

切れ目(折り目?)を入れていった。


その筒は、

改札の器具であるとともに、

代金をしまう容器でもあるようだった。


その手さばきは、手際がよく、

あまりの速さで何をやっているのか

一見しただけではよくわからなかった。


バスが走り出し、

窓外を景色が流れていく。


いくつかの停留場をこえて、

快調に走るバス。


しばらくすると、

バスの乗客がたくさん降りる、

大きなバス停に到着した。


見ると、乗客のほとんどが降りていた。


乗客のひとりが、

何やら言葉を投げかけてきた。


終点。


おそらく彼は、

そんなようなことを教えてくれていた。


順調に走っていたそのバスは、

思いのほか早く終点に到着した。


戸惑っていても仕方ない。

ひとまず、降りるほかはない。


バス停に記された地名は「モチット」。

行きたい場所は「エカマイ」。


このとき生まれた名文句が、


「もちっとエカマイ」


もうちょっと行かまい、

といった気持ちを詠(うた)った、

タイの旅路の吟(うた)であります。



さて、ここからは電車に乗って、

エカマイに行かまい、という流れであります。



























駅の売店や、

看板におどるタイの男前に見送られながら。


慣れない段取りで切符を買って、

いざ、お電車へ。


バンコク市内は

象こそいなかったが、

想像以上に街だった。


象がいない代わりに、

柿色の袈裟(けさ)をまとった

お坊さんはいた。












お腹が減っていたので、

電車を待つあいだに、

先ほど買ったサンドイッチのようなパンを・・・

と思ったら。


ホームのすみに立っていた警察官が

ささっと駆け寄ってきて、

指を立てて「NO, NO」というような

ジェスチュアを示した。


どうやら、

駅のホームでの飲食は禁止らしい。


本当だ。

壁にしっかり「飲食禁止」の

サイン看板があった。


そんなこんなで。


想像以上に未来的な電車が

ホームに滑り込んできた。


冷房がしっかり利いた電車に乗り込む。

景色が見たいので、

出入り口付近の窓辺に立つ。


建設ラッシュなのか。

街中のいたる所で、工事中の風景が目立つ。

タワーみたいな、

細くて高いビルもたくさんあった。


乗客の姿も興味深い。


入れ替わる人々と、

流れゆく景色を目に映しながら、

エカマイまでの電車の旅をたのしんだ。


やっぱり、

乗り物はたのしい。















エカマイに到着。


そこから宿に向かった。

前日、出発前夜の自宅にて、

インターネットで予約した宿だ。


だいたいの住所と勘をたよりに、

目当ての宿を探して歩く。


途中、

路上やスーパーマーケットなどで

道草をしながら。


(写真の青いパンダ(?)は、

 スーパーマーケットで見つけた

『ガチャガチャ』。

 10バーツでゴールドの

『LOVE』指輪が手に入った)


さんざん道草した挙句、

裏通りに、今晩の宿はあった。























































宿に入ると、

まるで申し合わせたかのように

いきなり、勢いよく雨が降ってきた。


本当にものすごい勢いで、

外にいたらわすか数秒で

パンツまでびしょ濡れになるほどの

スコールだった。


助かった。


あとちょっと道草が伸びていたら、

荷物ともどもびしょ濡れになっていた。


激しい雨に幽閉された部屋の中で、

しばしの休息。


小1時間ほどして、

雨はあがった。


ということで、

再び街へと繰り出した。

















タイの中で、

なぜ「エカマイ」を選んだのか。


それは「コマック(マック島)」へ行くのに

都合がいいからだ。


コマックへ行くためには、

トラートという港まで行く必要がある。


エカマイから長距離バスに5、6時間ほど乗ると、

トラートに行ける。

コマックには、そこから船で渡るのだ。


(正確には、長距離バスのあと、

 30〜40分トラックの荷台タクシーに乗って、

 ようやくコマック行きの乗船場に着くのだが。

 このときはまだ、それを知らなかった)


明日、コマック行きのバスに乗るために、

今日、エカマイの宿に宿泊する。


ということで、

街の散策ついでに、

エカマイのバスターミナルを探しに出かける。


ふらりと入った学校の購買で、

シャンプーなどを買ったりしつつ。


雨上がりの街。


バスターミナルは、

宿から歩いて15分ほどの距離にあった。



























タイの初日。

つたないタイの印象は、

「陳列(ちんれつ)・整列の国」だ。


韓国に行ったときもそう思ったが。

それにもまして、陳列を感じた。


スーパーマーケットをはじめ、

商店、コンビニ、ちょっとした露店など、

商品の陳列が、整然としている。


さらにはその数と量。

おなじものがたくさん並んだそのさまは、

うつくしい織物を見ているようだ。


信号待ちするバイクや車も、

どこか整然と並んでいるふうに感じるのは

気のせいだろうか。


そのほか、些細なことでは、

電線の始末に目が向いた。


見上げた頭上の電線、

敷設してあまった(?)電線が切られずに、

ぐるぐる巻かれている様子は、

なんだかにぎやかでおもしろい。


あと、歩道の舗装部分が

すいぶんまばらなこと。

場所によっては、舗装された部分が

飛び石みたいにちょびっとしかない箇所もあった。


雨上がり、

砂利まみれの泥水が、足元を濡らす。

濡れても汚れても平気な、

ゴムサンダル(Health社製)でよかったと思った。



あとは、人。


「微笑みの国、タイ」

と聞いたことはあったが。


本当に人が親切で、

みんな笑顔でやさしい人ばかりだと思った。




あたりが暗くなりはじめ、

お腹もすっかり減ってきた。


歩きながら目についた、

たのしげな界隈(かいわい)に入ることにした。

露店が集まった、

フードコートのような場所だった。


いいにおい。

おいしそう。


色とりどり多種多様。

選ぶのに迷うほどの食べ物が

ずらりと並んで、

腹ぺこジャパニーズの到着を歓迎してくれた。







































目で見て、選んで、

名前もわからぬものを注文して食べた。


おいしかった。


鶏のだしが利いた麺。

あっさり透明なのに、

いろんな味かちゃんとする。


豚肉とレモングラス。

スパイスが効いて、

甘くて、辛くて、おいしかった。


机の上には、お好みでどうぞと、

芽ネギ、青唐辛子の酢漬け、チリソースが

置いてある。


蒸し暑い気候。


スパイスが回って

さらに汗がどっと出る。


辛みと暑さで、

甘く、冷たいものがほしくなる。


席を立ち、デザートを物色。

コンビニでアイスクリーム、でもよかったが。

ありがたいことに、

おもしろそうなデザートを発見。


まず、見た目がたのしそう。

にぎやかで、色とりどりで、

ひな祭りとかお正月みたいだ。


なんだかよくわからないけど、

デザートにはまちがいなかったので、

それを食べることにした。






















ほどよく冷たい、やさしい甘み。


ココナッツミルクと、

緑豆春雨のような透明な「麺」。


着色された赤い「実」は、

片栗粉のような、ゼリーのような、

ぶよっとした糖衣で包まれていて、

かじると山芋のような

しゃりっとした食感だった。


かき氷のような見た目だけど、

まるで知らない、不思議な食べ物。


言えば、もっといろいろ

トッピングしてくれたのかもしれないが。

辛い食事の後にぴったりの、

ほどよい甘さのデザートだった。































































食後の散歩。

夜の街は、昼間とはまた表情がちがう。


見えなかったものが見えたり、

見えていたものが見えなくなったりする。


きれいなものがきたなく見えたり、

きたないものがきれいに見えたりする。


コンビニに並んだお菓子たち。

壁に貼り重ねられた、たくさんのステッカー。

照明に浮かび上がる、果物や野菜。

色とりどりの傘までもが、たのしげに見える。


トンネルのような路地を抜け、

表通りから奥へ入ると、

大きなネズミがうろうろするような界隈に出た。


雨は降っていなかったけれど、

遠くで雷鳴がとどろき、

ときどき空が白く明るんだ。


そこから見上げた空には、

建設中のビルが、

まるでぼくを見下ろすかのように、

はるか高くにそびえ立って見えた。


古びたコンクリートの建物から、

白々とした明かりが漏れている。


見ると、床に腰を下ろして、

宿題でもしているのか、

机のような台座に向かう少年の姿があった。


こちらを興味深そうに見たかと思うと、

またすぐ手元に視線を戻した。


もときた路地を戻ると、

また先ほどとおなじ、

表通りの風景が目の前に広がった。


街は、先ほどとおなじ顔つきで、

にぎやかな色を放っていた。


見上げるとそには、

はげしくとぐろを巻いた電線の束。


当初はあんぐり口を開けて見上げたそれも、

すでに親しみを感じる風景のひとつだ。


電線も、陳列も、水たまりも、バイクも。

みんな、タイだ。






タイ、初日。


明日の朝ごはんをコンビニで買って、

その日は終了。


(気になる飲み物がいっぱいで、思わず・・・。

 左上の「オレンジ」のジュースが特に絶品)



明日はコマック。


長距離バスで6時間。

移動が中心の1日になる。





・・・・さて。

いかがでしたでしょうか。


次回は『タイ・コマック上陸編』です。

どうぞおたのしみに。



< 今日の言葉 >


「きみの唇を、Uber eats 2(ウーバーイーツツー)」




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