2015/04/13

家原美術館2015〜中間報告・其の1




こんにちは。


車の運転中、左カーブの遠心力を利用して、

助手席の女の子の唇をうばう技を習得した家原利明です。



さて。



8月のお盆明けごろから開催する、


《家原美術館2015》


只今、そのための準備、制作に奔走中であります。



3月の末ごろから現場に通い、

滞在しておるわけですが。


今回は、そのようすをほんの少しだけ

ご覧いただきたく存じ上げ申します。




まだまだ全体像をお見せすることはできませんが、

ときどきこうしてご報告いたしますので、

開催のそのときまで

どうぞお待ちくださいませ。





























まずは現場の掃除。


これまでの展覧会でも、

いつも掃除からはじまる気がする。


不思議な業(カルマ)だ。




掃除が好き、というわけではないけれど、

空間や場所をきれいにするのはたのしい。

いや、ぴかぴきに磨いたりするのが嫌いじゃないから、

やっぱり掃除も好きなのかもしれない。




小学校のころ、

忘れものをすると、

放課後に居残りで「廊下のぞうきんがけ」という責務を

与えてくださる先生がいらした。


忘れもの1つに対して、

長ーい廊下を50往復。

2つ忘れものをすると100往復になる。


リノリウムの廊下を一休さんのごとく、

「すきすきすきすきすきっすきっ」

と、乾拭きしつづける。


おかげでぼくは、いつも部活に行くのが遅くなった。

とはいえ、乾拭きで培った「脚力」も無駄ではなかろう。



閑話休題。



話は戻って。




ぞうきんとバケツ。


ぼくは水拭き掃除が好きだ。




床に水を打ち広げて、

汚れた水をぞうきんに含ませてバケツにしぼる。

初めどす黒かった水も、

2回、3回くり返すとだんだん水が澄んでくる。



窓際、日なたに広がる水たまりの水は、ぬるい。

日の当たらない場所に広がる水は、ひんやり冷たい。


水たまりになった水に、

ぱしゃぱしゃとぞうきんを遊ばせると、

ぬるい水と冷たい水が混じりあって、

温と冷、マーブル状の感覚が手に伝わる。



水びたしになった床に、

空の青と雲の白がきらきらと映り込む。


それはすごく特別な感じがして、

うきうきときれいな風景だった。



































掃除機とブラシ、そして「おそうじ棒」。

おそうじ棒、といっても、

ただの「わりばし」で何ら特別な機能もない。


けれどそのわりばしが恐ろしく役に立つ。


穴につまったほこりやゴミをこじり出し、

ブラシでかき出し、掃除機で吸い込む。


溝にたまったゴミをかき出して掃除機に吸わせていたら、

何だか掃除機に「エサ」をあげているようでおもしろかった。



ぱくぱくとゴミを食べていく掃除機。

休むことなく、けなげに、

きれいにゴミを平らげていくその姿に。

丸みを帯びたそのフォルムが、

急にいとおしく見えはじめる。



ふと、昔『ドラえもん』で観た、

掃除機の「ソージー」を思い出す。


何でもペットになる道具で「自我」を持った

掃除機の「ソージー」。


あの話、感動したなぁ・・・。



ペットがらみのお話に滅法弱い、

ベタな男の、家原でございます。




「ソージー・・・」



そんな妄想に遊泳しつつ、

掃除機にゴミを吸わせていく。























廊下や階段、居室など、

ひとまずの大掃除を終えて。



ここからは「下地づくり」のようすになります。



展示をするための空間をつくる、下準備。



てきぱきと動く掃除もそうだけれど。


汗をかき、体を動かす作業は気持ちがいい。

日を追うごとに筋肉がきしみ、

きゅっとしまっていくのが分かる。











































壁の漆喰(しっくい)をはがす。


今回「でこぼこ」の壁では具合が悪いので、

スクレーパーでガリガリ、バラバラと、

白い漆喰をはがしていった。



白い粉塵が部屋に充満し、

目がゴロゴロして、鼻の穴がカサカサになり、

喉がイガイガになる。



窓を開けても追いつかない。

マスクは嫌いなので、

口を閉じ、息を止めてバリバリ削る。


目や鼻、喉だけでなく、

唇や肌や指先までもがガサガサになる。



白い粉塵を浴びて、髪も肌も白く染まり、

玉手箱を開けた「うらしま太郎」のように急に老け込んだ。






漆喰の粉で白っぽくお化粧した室内を掃除する。


最初の掃除では真っ黒になった水も、

このときは絞るたびどんどん白くなっていった。


床や壁など、

2回、3回と水拭きして、

ようやく粉っぽい空気に透明感が戻った。



































漆喰をはがした壁面に、ベニヤをはめていく。


水平垂直が怪しい室内では、

寸法というものも「目安」でしかない。


まぁ、きっちり水平垂直が出ている部屋でも、

同じことを言うのかもしれないが。



4ミリ厚のベニヤに下穴をあけ、ビスでもんでいく。

今回、下穴の深さは、

だいたい1.5〜1.8ミリくらいが理想。


ベニヤの個体差、力の入れ具合で、

浅くなったり深くなったり。


あとほんの少し深く、と、

深追いしすぎて穴が貫通することもしばしば。



何度も穴をあけるうちに少しは上達したのか。

穴あけも、ビス打ちもいい感じになってきた。


たいてい、そんなころに作業が終わる。



どうなることかと思っていたけれど。

とにかく、ビスが利いてくれてほっとした。








腹が減っては戦はできぬ。

パンがなければ、お菓子を食べればいいじゃない。

と、いうことで。



普段、1日2食の家原でありますが、

体を使えば腹も減るわけでありまする。



ここからは、

<お食事編>として、

滞在中に食べたものの一部を公開いたします。










昼食代わりの「おやつ」。


おかしがなければ、ぼくはだめになります。


おかしのない世界なんて、

花や歌や音楽のない世界と同じなのでございます。




煙草やおかし、アイスクリームや菓子パンなど、

食品および生活雑貨を売っているお店。


下見のときに見つけた「命綱」。














ほかにも、おかしの売っている薬局や、

野菜やお魚、お肉やおかし、とうふやスラックスなど、

いろいろなものを扱う「ストアー」等、

滞在生活の強い味方がそろっています。








韓国ラーメン『辛』と白いごはん。
上の小鉢は、中国物産店で買った『飯キョ光』(辛味)。






大理石のようにカチカチの『パルム』。
歯が折れそうだったので、ひとまず「ゆるめタイム」を設けました。






ある日の朝食。胚芽パン(おしゃれ)とスクランブルエッグ。
トースターがないのでフライパンでパンを焼きました。






「ストアー」で買ったもやしとお肉。お肉は「鳥ホルモン」。





頼れる「ストアー」では、


新鮮な野菜やお魚をはじめ、

めずらしい部位のお肉やお惣菜が売られていて、

昼下がりには常連さんでにぎわっている。




菓子パンが30円で売っていたり、

手づくりっぽいパンが4、5種類詰め合わせで

100円だったり。



アイスクリームのクーラーボックスのなかには、

冷凍のうどんや冷凍のスライス食パン。



290円のしょうゆの横に、

「賞期限」をこえて年をまたいだ同銘柄のしょうゆが、

60円で売られている。



オレンジや黄色のカサに包まれた照明。

所々にイスがあり、

くつろぎスペースのような場所では、

おじさん、おばさんが腰を休ませている。



スナックやせんべい、チョコレート菓子など、

いろいろな種類を展開している「シリーズ」のおかし。


それを手に取るぼくに、

お店のご婦人が説明してくれた。



「このお菓子、いろんな種類があるでしょ。

 けど種類によって袋の大きさ(内容量)がみんなまちまちじゃない。

 だから聞いてみたのよ、メーカーさんに。

 お菓子の袋の大きさってどうやって決めてるのかって。

 そしたらね、

 『ひとりで食べたら1日分、

  ふたりで食べたら1回分』

 なんだって。

 そうやって袋の大きさが決まってるんだって」



お肉屋さんでは、

照明に頭をぶつけるぼくに、


「あらぁ大丈夫!? お兄さん大きいからね」


とお店のご婦人が心配してくれた



お肉を買うと、調理方法とおいしい食べ方を教えてくれた。



「そぼろ、ちょうだい」



いきなり横からおばちゃんの声。


ぼくと店員さんのやりとりなど意に介さぬようすで、



「そぼろ、今日はないの? そぼろ買いにきたのにぃ」



と、残念そうに嘆いていた。



「ごめんね、今日はそぼろ作る時間がなくて」



「何ぃ、そぼろ、ないんかぁ」




そんなやりとりも、何だかたのしい。





専門店がひしめく、

たのしい「ストアー」。



各店にレジがあり、

けっして広くはないが

外国の市場のような雰囲気だ。




お店に入ってすぐ、確信した。



数年前、レンタル自転車で街を徘徊しているとき、

ふらりと立ち寄ったことのある「ストアー」だと。



そのときは、

透明の小袋に入った白っぽい粉が、

袋の表面にマジックペンの黒インクで

「100−」

直に書かれて売られていることが印象に残った。



そのとき、

透明の袋に入った白い粉が、

ホットケーキミックスだと推測できるまでに

いくばくかの時間を要した。



そして、ここら辺りはおそらく、

一人暮らしの方々が多い地域なのだろうという結論に至った。





まさかそのお店に、再び来ようとは。



そしてそのお店を、

まさか日常的に利用しようとは。



まるで想像すらしなかった事実であった。





しょうゆやソースが並んだそのすぐ目前に、

ご婦人物のスラックスやシャツが並んでいる。



にぎやかでぎゅっとして

わいわい品物が並んだ「ストアー」。




そのお店へまた来られたことに、

何かしら「運命の糸」のようなはたらきを感じつつ。



うれしくてぼくは、

小躍りしながら買い物をたのしんだのであります。






ふちの焦げたトーストに、卵と、菊芋のみそ漬けの千切り。












やめられないし、とまらない。
魔性のえびせん。






青い空を映し込んだチップス。






ときには缶詰に頼って、バターチキンカレー。
ガーリックライスにしてみましたが、
白いごはんのほうがスパイスの香りが引き立ちました。

〜半熟のつもりが完熟になった卵を添えて〜







ごはんもおかしも、

とっても大切なものですね。






コンクリートに生える草。






夕暮れどき。






深夜零時すぎ。






公園の桜がはらはらと散って、
あたりに白い花びらの絨毯(じゅうたん)を敷きつめていました。








・・・と、いった感じでありますが。




またの報告をどうぞおたのしみに、


といった風合いでございます。






それではみなさま、

乞うご期待、よろしくお願いいたします。






車の運転中、左カーブの遠心力を利用して、

助手席の女の子の唇をうばう技を習得しつつも、

まだまだそのハートまではうばえないでいる

家原利明からの報告でした。





敬礼っ♡












家原美術館2015〜中間報告・其の2

家原美術館2015〜中間報告・其の3




< 今日の言葉 >