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2023/11/24

2024年1月 展示のお知らせ


あたたかそうな動物





みなさま、こんにチバ。


このたび、

お世話になっている

ギャラリーの方から

お声かけいただき、

出展させていただくことと

相成りました。



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『生きとし生けるもの』展


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<日程>

2024年

15日(金)から14日(日)まで

 (会期中無休)


<時間>

12001600


 

<出展作家>


家原利明さん(絵)

北尾正治・マキさん(磁器)

戸出雅彦さん(磁器)

ラファエルナバスさん(陶磁器)

beanxiousさん(パーカー)

N’sworkさん(フェルト)

 

 

<場所>

gallery ten(ギャラリーテン)


〒299-3235

千葉県大網白里市駒込752203


<電話>

0475-78-3068


<交通>

JR外房線

「大網(おおあみ)」駅から徒歩5


◆ 駐車場完備



 

<<< 広報動画 >>>


https://youtu.be/avUWNdDenec




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今回は

展覧会の趣旨に沿い、

動物(生きもの)の絵を

20点用意しました。


新作18枚と、

旧作2枚です。


作品はすべて販売いたします。


比較的お手頃な価格で

用意していますので、

お早めのご来場が

賢明かと思われます。


会場にて、

お気に入りの1点を

見つけてください。


もちろん、

鑑賞のみでも

うれしく思いますので、

どうかご遠慮なく

ご来場くださいませ。


さて。


そんな生きものたちの絵を、

少しだけ、

お見せいたしましょう。




木もれびのリス







あたたかい場所をよく知っている







朝がきた







ポーラベア





勢いあまって、

このまま全部

お見せしたいところですが・・・。

ここは、ぐっとがまんの子です。


原画はもっと色あざやかで、

色とりどりに輝いています。


この機会に

ぜひとも会場にて、

原画の色、質感を

ご堪能くださいませ。


関東圏以外のみなさまも、

どしどしご来場ください。


会場に

家原本人はおりませんが、

たくさんの絵と、

たくさんのすてきな物たちが

迎えてくれるはずですので。


どうぞみなさま、

お誘い合わせのうえ、

ぜひともご来場いただきますよう、

よろしくお願いいたします。



房総半島は、

見所もたくさんですし、

おいしいものもたくさん

ありますので。


『生きとし生けるもの展』


どうぞ足を

お運びください。



< 今日の言葉 >


「えぇ~っ、酔うと

 どうなるんですかぁ?」


「酔うとねー、

 まっすぐ歩けなくなるんだよ」


(待っていた感じのものとはちがうし、そんなことは当たり前すぎて聞くまでもない答え)



2023/11/17

たのしい計画

『太陽に向かって走る車』(2023)





『太陽に向かって走る車』


この絵は、

ご依頼をいただいたお客さんの

お子さんとの共作だ。


まっさらなパネルに

お子さんが線を描き、

その「絵」をもとに

1枚の絵に仕上げる。


こんなおもしろい計画を

発案してくださったのは、

依頼主であるお客さんだ。


どんなふうになるのか。

どんな線を引いて、

どんな「絵」を描いてくれるのか。


もう、最初から最後まで、

わくわくと楽しい

「お絵描き」だった。



**



今回の主役である

男の子(4歳)は、

お客さん宅に到着した

ぼくを見るなり、

こう言った。


「ねぇ、どうして

 おうちのまえを

 とおりすぎたの?」


曲がるところを

まちがえたからだと説明すると、

またしばらくして

おなじことを聞いてきた。


そのたびにおなじふうに返す

ぼくとのやりとりが気に入ったのか、

何度もくり返し聞いてきた。


「まちがえちゃったんだって。

 もう、あんまり言うと、

 泣いちゃうよ」


わざとそう言い返すぼくに、

男の子はなんだかうれしそうに

笑っていた。


以前、誰かに聞いたことがある。


子どもがおなじことをくり返すのは、

化学者が実験をくり返して、

その結果や変化を

たしかめているのとおなじことが、

頭の中で巻き起こって

いるからなのだと。


相手の出方や変化をもとに、

反応を楽しんだり確認したり、

学習したりしているそうだ。


たしかに、自分もそうだった。


よもぎ餅をつくるために、

母と「よもぎ」を摘んでいて、


「ねえ、これ『よもぎ』?』


と、何度も、

よもぎではないとわかって、

タンポポや名も知らぬ草を見せては、

その反応を楽しんだ。


「それはよもぎじゃ

 ないって言うの!」


笑いながら返す母に、

なんだか自分もうれしくなって、

しつこく何度もくり返す。


にもかかわらず、

飽きることなく

何度も応えてくれる母。


・・・そんなことを思い出す。


男の子はそのあと、

ミニカーやぬいぐるみなど、

自分のお気に入りのおもちゃを

あれこれと見せてくれた。


その場を去っては戻ってきて、

次から次へと見せてくれる。


その姿に、小学生のころ、

家庭訪問にきた先生に、

見せびらかしたり

紹介したりするでもなく、

ぬいぐるみのコレクションを手に、

玄関先にふらふらと顔を出した

かつての自分を思い出した。


あれは小学3年生のこと。

ああ、なんと幼き

小学3年生なのか。


そのときのぼくは、

大好きな先生が自分の家に

遊びに来てくれたような気持ちで、

ぬいぐるみの

クマコレクション(クマコレ)を

ひそかに「見せびらかして」

いたのだった。


ミニカーや超合金なんかじゃなくて、

ぬいぐるみなら、

きっと先生もよろこんでくれるはず。


たぶん、そんなことを

思っての行動だったのだろう。


あれこれ見せてくれる男の子に、

幼き日の自分を重ね見る。


言葉や意思表示の

術(すべ)を持たない、

幼少期の子ども。


「見せびらかし」は、

相手に対しての好意やおもてなしの

気持ちの表れだったんだなと、

あらためて気づかされた。


うれしそうに

「お気に入り」を見せてくれる男の子に、


「そのぬいぐるみ、ちょうだい?」


と、聞いてみる。


「あっ、あっ・・・!」


にわかにあわて出す男の子。


その姿があまりにも

まっすぐでかわいらしく、

次に紹介してくれたぬいぐるみにも

「それちょうだい?」と聞いてみた。


「あっ、あっ、いいよ」


目をまん丸にしてそう答える男の子に、

ぼくは少し笑って、


「いや、だめでしょう。

 あげちゃったら」


と笑う。


その意味がわかったかどうかは

定かではないが、

男の子の顔に

どこかほっとした感じの

笑顔が浮かんでいた。


ああ、そうだな。

これが「遊ぶ」ってことだよな。


意味も答えもなく、

何の結果も期待しない。


ある意味「無駄」で、

何かの目的を持ってするでもなく。


目の前の時間を、

何も考えることなく、

ただただ「たのしむ」。


まさに、いま、この瞬間。


かつて飼っていた愛犬「ハナ」。

彼女にもそれを教わった。


いま、この瞬間を、

全力でたのしむ心。


次々とお気に入りを

紹介してくれる男の子の姿に、

ぼくは、

かけがえのない「瞬間」を

見せてもらった気がした。



***



ひととおりの紹介も終わり、

やや落ち着きを見せた男の子に、

さっそく色鉛筆を握ってもらった。


まっさらなパネルに向かった男の子は、

まるで巨匠のごとき迷いのなさで、

軽快な線をさらりと描いた。


本当に、何の迷いも、

てらいもない線だ。


なでるように描かれた

黄色(Canary Yellow)の線はうすく、

何の形も表してはいない。


次に描かれた

蛍光ピンク(Neon Pink)の線も、

軽やかに踊るうすい線で、

何かを描いた感じでもない。


もっとしっかりした線でもいいなと思い、

色の濃い、

青色(True Blue)の色鉛筆を渡す。


お母さんが男の子に声をかける。

何が好き?

好きなもの描いてみて、と。


「車は?」


ぼくとお母さんの言葉に、

男の子は「くるま」の絵を描いた。


形のない、

描きなぐっただけの線でも

よかったのだが。


男の子は、ばっちりと

「くるま」の絵を描いてくれた。


まったく天才画家のごとく、

躊躇(ちゅうちょ)なく描き終え、

色鉛筆を置いた男の子は、

またすぐに

たのしいおもちゃで遊びはじめた。


あっという間に、

すばらしい「下絵」が

できてしまった。







「仕事」を終えたぼくたち、

お父さんお母さん男の子と

ぼくとの4人は、

おやつを食べて、お茶を飲んだ。


大きな「ひと仕事」を

終えた男の子は、

また少し遊んだあと、

燃えつきた花火のように静かになり、

そのままお父さんのそばで

静かな眠りにおちた。


「目が覚めてぼくがいなかったら、

 今日のこと、

 夢かと思うかもしれませんね」



ちいさなお客さんと過ごした

まぶしい時間。


この時間を、

絵の中に閉じこめたくて。


ぼくは、

しっかりと吸いこんで

家に帰った。


大きくなった男の子が、

今日のことを感じられるような、

そんな絵にしたいと思った。




****




男の子が

下絵を描いてくれたので、

パネルを持ち帰ったぼくは、

ほとんど何もしていない。


「太陽」を描いて、

色を塗っただけ。


ほとんどが

男の子の手によるものだ。



今回のこの、

お客さんからの「提案」は、

言葉にこそ出されてはいないけれど、

男の子に対する愛情、想いが

いっぱい詰まったものだ。


だからぼくは、何もしなかった。


男の子の描いた線。

それをすべて肯定した。


肯定こそが愛。

肯定こそ尊重。


言葉じゃない。

行為でそれを表したい。


それを絵の中に閉じこめて、

何年も何十年後にも

色あせないようにしたい。


ご両親の想い。


それが伝わる1枚の絵。


記憶。思い出。時間。思い。

愛情。瞬間。記録。保存。


今回、

この仕事を受けた時点で、

目的の半分以上は

達成できていた気がする。


だからぼくは、

何もする必要がなかった。


何も考えず、

だた、思いを閉じこめた。

絵の中に時間を閉じこめた。


男の子の描いた線。


自室で一人、絵を描きながら、

男の子と一緒に遊んでいるような

感じがした。


おもちゃで遊んで、

おやつを食べて、

わいわいおしゃべりして。


たのしくて、尊い、

ゆたかな時間。


そんなことを思っての、

すごくたのしい「お絵かき」だった。







*****



これまでにも、

いろいろな依頼、

いろいろな注文があった。


たいていは「お任せ」なのだけれど。


飼っていた犬の絵を描いてほしい、とか、

お店の絵を描いてほしいとか、

車や建物、お花の絵など、

いろいろな「オーダー」があった。


亡くなったおばあちゃんの書を

絵にしてほしい、という注文もあった。




青いギターを弾く人(2009)






エッフェル(2012)





エッフェル2013(2013)





月とノートルダム(2013)





旅の風景(2016)





心のなかに住む動物(2017)





きぼうの子(2017)





お菓子のお店(2017)





花一輪(2017)





りんごが大好き(2017)





ウメちゃん(2019)





ふーちゃん(2020)





つばめ(2020)







田中てつさん書(2021)






松と992(2023)




本当にいつも、

たのしい依頼ばかりで、

毎回わくわくしながら、

完成するのを楽しみに描いている。


そして毎回思う。

最高の1枚が描けたなと。


描き終えたとき、

そう思えなくなったら、

もう描かない。


そんな思いも含めて、

何年たっても色あせないよう、

絵の中に時間を閉じこめる。

想いを、記憶を、出来事を、

いまこの瞬間を、閉じこめる。



自由に描く絵も好きだけれど、

注文や依頼で描く絵も、

やめられない。


『太陽に向かって走る車』


これが何枚目の絵の絵なのか、

何作目の注文なのかとか、

そんなことはわからないけど。


最高の一枚が

描けたということだけは、

はっきりとわかる。



ぼくは、ただ絵を描く。


何も考えることなく、

いい絵を描く。


それがぼくの「仕事」だ。


芸術やアートではなく、

料理や花のように。


自分がいいと思う絵を描いて、

人によろこんでもらう。


それが「絵描き」の仕事だと、

ぼくは思う。



< 今日の言葉 >


ある洒落たカフェでの昼下がり。

全体的に白い、
パフェ的なものが運ばれてきて。

お店の女性が、男性客に説明する。


「こちらの、上の部分が
 ミソーになってるんですよ」


「へえ、ミソぉ・・・」


「はい」


「どこがミソなんでですか?」


「こことここがニソーになってて」


「・・・あ、二層ね。
 名古屋だから、ミソかと思った」



(声なくこっそり笑っちゃったけど、自分も「ミソ」に聞こえました)

2023/11/01

一挙一動が、きよき一票 の巻



       ~ 登場人物紹介 ~





成程 聡太郎(なるほど そうたろう):


小学校にかよう中学1年生。

運動は大の得意。

でも、べんきょうが苦手。

給食で好きなメニューは、

舌平目のムニエル。

好きなにおいは、

タクシーの排気ガスのにおい。





清木 逸俵(きよき いっぴょう)先生:


どのように生きれば

しあわせになれるのか、

宇宙規模で考える偉大な博士。

好きなものは、おまんじゅう。

甘いものに目がない。

苦手なものは、片づけ。

研究室はいつも、

本や資料(?)であふれかえっている。

八白土星。乙女座のAB型。





店員さん


派遣の仕事と販売職のアルバイトを

かけもちしながら、将来、

メジャーリーガーになることを夢見る

45歳の男の子(野球未経験)。

フォークリフトの免許と保育士、

カラーセラピストの資格を持つ。

好きな言葉は「テンメンジャン」。




* * *




店員さん:

いらっしゃいませー。



そうたろう:

あー、のどがかわいた。

どれにしようかな・・・。

あ、これこれ。

よし、これにしよっと。



イッピョー先生:

ちょっと待つのじゃ、

そうたろうくん。

どうしてそれに決めたのかな?



そうたろう:

え・・・? う~ん・・・。

本当はこっちのほうが

おいしいんだけど。

これ、安いから。

そのぶんちょっと、うすいけどね。



イッピョー:

いか~~~~~ん!



そうたろう:

うわっ! なに⁈

いきなりどうしたのっ⁈



イッピョー:

いいかな、そうたろうくん。

わしの目が黒いうちは、

断じてゆるさんぞよ。

いつでも真剣勝負。

一挙一動が、真剣勝負じゃ。



そうたろう:

でも・・・だって・・。



イッピョー:

デモもパレードもない。

いいかな、そうたろうくん。

キミが選んだのは、

本当にキミが、

いちばん飲みたいものなのかね?



そうたろう:

・・・いちばん、じゃあ、ないかな。

ほんとは、あっちがいちばんいい。



イッピョー:

ならばどうして

「いちばん」にしないのじゃ?

安いからという理由だけで、

第一希望をはねのけるとは、

さみしくないかね?



そうたろう:

・・・・・。



イッピョー:

いいかね、そうたろうくん。

第一希望を選ばず、

第二、第三のものばかり

選んでいたら、

キミはどんどん、

キミではなくなっていくゾ!



そうたろう:

ど、どういうこと・・・?



イッピョー:

本当のキミの意志がうすまって、

どんどんキミが「キミらしさ」を

うしなっていくのじゃ。

ちょうどその、お茶のように!



そうたろう:

うう、なるほど。

そうなのか・・・。



イッピョー:

いいかい、そうたろうくん。

うすまるのはキミだけではない。

この世の中がどんどん、

うすまっていくのじゃ。

ちょうどその、お茶のように!



そうたろう:

えっ、どういうこと、それ?



イッピョー:

たくさんの人たちが、

今のキミのように、

本当においしいものを選ばず、

安いからという理由で、

そのお茶を選ぶとしよう。

するとどうなるか?

・・・本当においしいはずの

そのお茶が、

世の中から消えてしまうのじゃ。

安いお茶に、

競争で負けてしまったからじゃよ。

わかるかな、そうたろうくん?


そうたろう:

なんとなく・・・。



イッピョー:

いっしょうけんめい、

汗水たらして。

いいものを作ろうとしている

人たちがいる。

その人たちは不器用で、

作るのは得意じゃが、

売ることがあまり上手ではないのじゃ。

だから、競争に負けてしまう。

たしかにそれは、

競争の原理かもしれない。

が、しかし。

もしキミが、そういう

「本当にいいもの」を見つけたならば。

・・・いいかね、そうたろうくん。

キミはその、きよき一票を、

「本当にいいもの」に、

投票してほしいのじゃ。

わかるかな、そうたろうくん?


そうたろう:

なるほど・・・。

先生、ぼく、

なんだかわかるような気がするよ。


イッピョー:

選挙やアイドルの

投票もいいのじゃが。

日々の、日常のなかにある投票を、

キミのそのきよき一票を、

大切にしてほしいのじゃ。



そうたろう:

なるほど・・・。

ぼくの、選ぶという行為そのものが、

世の中を動かし、

未来を決定づける大きな役割を

になっているというわけだね。



イッピョー:

ううっ、

いきなり回答の偏差値が

ぐぐっとあがったぞよ。



そうたろう:

つまり。

「本当にいいもの」を

残していくためにも。

適当に選んでちゃ、

ダメだってことだね。



イッピョー:

・・・・うんうん。

そうじゃ、そういうことじゃ。

キミはかしこい、いいコじゃな。

いつでも真剣勝負。

一挙一動が、真剣勝負、

というわけじゃ。



そうたろう:

けど、ぼくはいつでも

たくさんお金を

持っているわけじゃないし。

そんなとき、ぼくは、

どうしたらいいの?



イッピョー:

いいかね、そうたろうくん。

決めるのはいつも、

キミの心なんじゃ。

頭ではなく、心なんじゃ。

安いから、ではなく。

飲みたいからそれを飲む。

値段で決めるのではなく、

心で決めるのじゃ。

お金がないというのは

大きな理由にはならない。

本当にまったく

お金がないわけではないじゃろう?

そのたった60円の差で、

いったい何がどう変わるのか。

それを考えてみてほしい。

安いお茶を2本買うなら、

1回がまんして次に

「おいしい」お茶を買えばいい。

「飲みたい」お茶を買えばいい。

・・・大切にする、ということ。

その選択をあやまると、

キミの心がうすくなる。

ちょうどその、お茶のように!



そうたろう:

さ、3回目だ・・・。

たしかに先生は、うす味じゃないね。

どちらかというと、くどいみたい。



イッピョー:

たしかにわしは、くどいかもしれん、

顔も頭もあぶらっこいし、

おなかにもこんなぶあつい

あぶらをまとっておるし・・・。



そうたろう:

ごめんよ、先生・・・!

ちょっとぼくが言いすぎたよ。

本気じゃないよ、

じょうだんなんだ。



イッピョー:

ウォッホン・・・。

わしたる者、

そんなことですねるような、

ちっぽけな器じゃないわい。



そうたろう:

ほっ、よかった。

先生は偉大なる大先生ですからね。



イッピョー:

そうじゃそうじゃ。

こう見えてわしは、

偉大なる博士なんじゃ。

いつかわしもグラミー賞なんかを

手に入れて、みんなをあっと

言わせてやるぞい!



そうたろう:

先生がとるのは、

グラミー賞じゃなくって、

グラニュー糖ばっかりだもんね。



イッピョー:

・・・・・・。



そうたろう:

ゴメンね、先生。

もう言わないよ。

・・・で、偉大なる大先生様、

なんのお話でしたっけ?



イッピョー:

安物買いは銭失い、

という話じゃよ。



そうたろう:

だいぶ安易にまとめたな・・・。



イッピョー:

ん? 何か言ったかね?



そうたろう:

いいえ、なにも。

・・・安物買いの銭失い。

それって、けっきょく、

損ばかりしてて意味がないね。



イッピョー:

そうじゃな。まぁ、

まるで意味がないとも言えんが・・・。

そうたろうくんも何か、

思いあたるフシがあるじゃろう。



そうたろう:

そうだね。

たまたまワゴンセールで見つけた

大安売りのズボンを3本も買って、

どれもみんなサイズがぴっちぴちで、

2回もはかなうちに

ぜんぶおしりの部分がぱっくりと

やぶれちゃって、

けっきょく、大損こいたっていう、

そんなお茶目な場面を思い出すね。



イッピョー:

・・・そうたろうくん。

それは、わしのことを、

言っておるのかな・・・?



そうたろう:

やだなぁ、先生。

よくある事例です、

た、ただの偶然の一致ですよ。

・・・・先生、ぼく、

本当にいいものを見つけられる、

すてきな大人になりたいナ。

どうしたら先生のような、

すてきな大人になれるのかな?



イッピョー;

うわはははは・・・!

いきなり急には無理じゃよ。

トライ・アンド・エラー。

たくさんのものにふれて、

たくさん失敗したり、

いいものにふれて、

本当のよさを知ることじゃな。



そうたろう:

おのれの「ものさし」をみがけと。



イッピョー:

そう、それじゃ!

わしが今、

言おうと思っておった言葉、

そっくりそのままじゃ。



そうたろう:

トライ・アンド・エラー。

失敗なき人生は、

成功もうす味か・・・。

なるほど。

だから先生の研究室は、

あんなにもたくさんのもので

いっぱいなんだね。



イッピョー:

ま、まあ、そういうことじゃ。

失敗は成功のお母さん。

冒険なき人生は、

心の目を閉じて歩くのにひとしい。

わしの失敗は、みんな勲章じゃ。

宝物じゃ。・・・うんうん。

とにかくそういうことなんじゃ。



そうたろう:

でもさ、先生。

夕方になるとスーパーに行って、

半額になったおまんじゅうを

たくさん買うでしょ?

おはぎとかどら焼きとか。

先生、ちょっと買いすぎじゃない?

それってやっぱり安いから・・・・



イッピョー:

ちがう!

断じてちがう!

あれはじゃな、宇宙規模で

ものごとを考えた結果、

だれかがギセイになってじゃな、

その、地球の、エコのために、

フードロスを少しでも

削減するためにじゃな・・・。



そうたろう:

まあ、たしかに。

最初から「安かった」

わけでもないしね。



イッピョー:

そうじゃ、そうじゃとも。

買い物じょうずの目利きと

言ってくれたまえ。



そうたろう:

さすが先生。

ぼくもいつか、先生みたいな

立派ですてきな大人になりたいな。



イッピョー:

うぉほほほっほ・・・!

・・・・・・。

・・・で、いったい、

何の話じゃったかな?



そうたろう:

一挙一動が、真剣勝負。

自分が本当にいいと思うものに、

いつでもきよきイッピョーじゃ!


他人の声や行列にまどわされず。

おのれの感覚と価値観を信じて、

自分が本当にいいと思うものに、

きよきイッピョーじゃ!



イッピョー:

そうじゃそうじゃ!

きよきイッピョーじゃ!



店員さん:

ありがとうございましたー。




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11月1日は、


一挙一動がきよき1票の日


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< 今日の言葉 >



とあるキャバレーにて。


おしまいの時間になると、

お客さんに具なしのお味噌汁が

ふるまわれるとのこと。


「してそのこころは・・・?

 

 『具・ない』→ Good Night~!」


(知り合いから聞いた、すてきなお話)