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2019/02/21

睦月の次は如月ハニー







思ったことを、思ったとおりにやる。

たとえば、オムライスが食べたい、と思ったとして。

めんどうだな、とか、忙しいから、とか言って、

オムライスじゃなくて、適当なものを食べる。

そうすると「自分のなかの自分」が、

こいつはあてにならない、

せっかく伝えたのに、

つまんないの、ちぇっ・・・と、

そっぽを向いてしまう。



そしていつしか、

その「声」さえも聞こえなくなる。







先日、夢を見た。

長崎県の、佐世保市に行く夢だった。


実際のぼくは、

佐世保市にも、長崎県にも、

行ったことがない。



夢のなかの佐世保駅前には、

サンフランシスコばりの、

長くて急な下り坂があって、

坂を下っていくと、

右手に古い教会があった。


教会の色は、深い飴色で、

保護のために強化ガラスで囲われていた。

その姿はまるで、

ガラスケースに入れられた

オルゴールのようだった。


左手にも古い建物が並んでいて、

工場のようなパイプがいくつも延びた

煉瓦(レンガ)づくりの建物は、

こちらも同じく深い飴色で、

表面を磨いた銅のような陰影があった。

そのさまは、

さながらスチームパンクの様相で、

歯車や、蒸気さえも見えた気がした。



坂を下りきると目の高さに海が開けて、

護岸の広場では海兵隊の行事が行われていた。

白と赤の衣装を着た海兵隊は、

地面や建物、巡洋艦などを被いつくすほどたくさんいて、

遠くにいる集団は、胡麻粒大ほどに見えた。


それにまさるとも劣らぬ数の観衆。


そのなかの一団、高校生男女の4人組。

みな、そろいの制服を着ており、

男女とも紺色のコートを羽織っていた。

右端の、眉毛が太く、獅子顔の男子がぼくに声をかけてきた。

背は低いけれど、筋肉質でごつい体型の子だった。


2人の女子は、やめときなよ的な感じで、

ひそひそ笑いながらも彼を制していた。

もうひとりの男子はひかえめに、笑みを浮かべていた。


「すごくカッコイイッスね」


獅子顔の彼が、自信たっぷりに言った。


夢のなかのぼくは、赤い(DIC159)ベルボトムのズボンに、

緑色(DIC174)のトレンチコートを着ており、

ミラータイプのティアドロップ型サングラスをかけて、

白い、エナメルの靴を履いていた。


ぼくは、しばし彼を見つめたあと、

がたいのいい彼の胸を平手で打って、


「いい体してるね」


と、笑顔で言った。


「けど、コートのサイズが合ってないね。

 肩で合わせたら、いい感じになるよ」


ぼくは、彼のコートの肩をつまんでみせた。


たしかに彼は胸囲があるけれど、

それにしても大きくてぶかぶかな感じのコートだった。


肩をつまむと、手の長さがちょうどになり、

ずんぐりと見えた体型も、

それだけでずいぶん、すらりとした印象になった。

その変化は一目瞭然で、

本人はおろか、ほかの3人までもが感嘆の声を漏らした。


呆気にとられる彼の胸を、

もう一度、ぽんと叩いて、

そのまま彼らを置き去る感じで、

まっすぐ進路に向き直って足を進めた。





また別の夢。


ウェブ上のオークションで、


『ケープカナベラル発ロケットのハンドル権』


というものを落札した。


思っていたいよりも手頃な価格で手に入れることができ、

夢のなかでぼくは、

これでもし月旅行に選ばれなくても大丈夫だZO、と、

安堵のうなずきを見せていた。



この「ハンドル権」というもの。


夢のなかでのロケットには、

フックのような引っかかり部分があり、

その部分のことを「ハンドル」と呼ぶらしい。

そこに引っかれば、

何でもそのまま運んでくれる。

荷物でも、物資でも、人間でも、何でも。

引っかかりさえすれば、必ず目的地まで運んでくれる。

それがこの「ハンドル権」というものだ。


ぼくが夢で落札したのは、

「ケープカナベラル発」の「ハンドル権」。

「着」については、詳しく明言されてはいなかったものの、

夢のなかのぼくはまちがいなく「月」だと認識していた。



・・・目が覚めて、朝。


ケープカナベラルって、

どこの都市名だったかな、と思い、

調べてみた。



ケープカナベラル。



なんとその地は、

かの「アポロ計画」の舞台であった。


「We choose to go to the Moon ! 」(by  J.F.K.)


(※詳しくは『ケープカナベラル』で検索してみてね)


この驚きが伝わるかどうかは不明だけれど。

頭の片隅にあった

「ケープカナベラル」という地名が夢に出てきて、

調べてみると、

妙につじつまが合っていた・・・ということでありました。





また別の日には、

関東の百貨店で展覧会をする夢を見た。

場所は、横浜のそごうだった。



つや消しの黒い漆喰の壁。

飴色(よく出てくるね)の柱に、若草色の畳。


壁に飾った絵は、色鉛筆作品のほかに、

油彩の半立体作品で、

天井からのスポット照明がつくる光の輪と、

半立体がつくる陰影がものすごくかっこよくて。

つや消しの黒漆喰の壁に飾った、白い正方形の作品が、

まるい光に浮かび上がって見えるのも、ものすごくよかった。


若草色の畳も、

スポットの照明のせいか、

伊草(いぐさ)の畝(うね)がきらきらと輝き、

編み目の影がうつくしかった。


そんなのに見とれていると、

たくさんのお客さんのすきまを

縫うように現れたOさん(実在の人物)が、


「家原さん、これ、値札」


と、小さな紙片の束を畳の上に置いた。


「すごいお客さんですね。
 やっぱり百貨店ってすごいですね。
 なんかもう、満足しちゃいましたよ」


心底そう思ったぼくに、

Oさんは、小声だけれど語気だけ強めて、


「何を言ってるの。まだ初日でしょっ」


と、いさめる。

ぼくは、てへへ、と笑って、

値札を手に立ち上がった。



お客さんのなかに、

イチロー氏がいた。

夢のなかでは知り合いのようだった。


夢のなかのイチロー氏は、

メタリックなキャップをかぶり、

白い半袖のポロシャツに、

シルバーメタリックのズボンを履いていた。

そのメタリックなズボンは、

4センチ角くらいの碁盤のようなマス目、

1コマずつに、

ミッキー・マウスの偽物の絵が描かれていた。

そのマウスの絵は、

染み版のような印刷なので、

地のメタリックが透けていて、

赤や青い線もメタリックに輝いていた。


夢のなかでイチロー氏は、

涼しげな顔で挨拶と感想と述べたあと、

それじゃあゆっくり見ていくね、と、

人ごみのなかに消えていった。



別の知人も来てくれていた。

彼は、先ほどのイチロー氏と

同じような素材のズボンを履いていた。

見ると彼は、

額に汗をだらだら浮かべていた。


たしかに、会場は人の熱気で暑かった。


おなじような素材のズボンと、

おなじような半袖のシャツを着ているのに。

知人は滝のように汗を流し、

イチロー氏は表情だけでなく、実際、涼しげな感じだった。



較べてみて初めて分かる、偉人のすごさ。

さらりと自然にやってのける、偉人のすごみ。



スマートな、氏の姿に感心して、

夢のなかで、うーんと唸ったぼくでありました。





そうなんです。



結局のところ、

ほとんどが夢のなかの世界のお話なのです。



だからこそ、

思ったことを思ったようにやらないで、

どうするのでしょうか。





現実の世界でも、

中高校生の集団に笑われて。


いかしたお店や、いかれたお店でほめられて。



どっちが夢でどっちが現実なのか。


否、どっちも現実ならば、

いいとこどりでいきませう。



「おなじ川には二度入れない」


「目の前の事実以外に、ほかに世界はない」



もしも、とか、

・・・だったら、とか、

・・・だからとか。


そんなことよりも、

いま、この瞬間を大切に。


いまは、いましかないのですからね。


色即是空。

諸行無常でございます。




最後に大発見をひとつご紹介。


『名探偵コナン』と、

コイケヤ『スコーン』は、

ほぼおなじ書体。





・・・に見えて、

ならべてみると、

やっぱりちがう。





< 今日の言葉 >


満月に向かって ノラ猫たち

狼を気取って フニャロ フニャロ

月明かりの中で

そっとドレッサーをのぞけば

バスタオルに包まれた

天使がひとり映ってる

誰かさんに よく似てる


I LOVE YOU なんだかとても

夢 夢してる ときめきトゥナイト

I LOVE YOU 不思議な気持ち

こわいくらいに ときめきトゥナイト


(『ときめきトゥナイト』唄:加茂晴美 作詞・作曲:古田善昭)