2015/09/28

ありがとう、家原美術館2015〜回想録・其の1













《家原美術館2015》岐阜。

長きにわたり開催しました展覧会も、

おかげさまで大盛況のうちに幕を閉じました。


ご来場いただいたみなさまはもとより、

今日まで支えてくださったみなさま、

ときどき思い出して微笑んでくださったみなさま方、

本当にどうもありがとうございました。


会期中、いろいろなことがありました。

毎日が物語のような出来事の連続で、

1日が3日くらいに感じられたこの数カ月。


本当に、濃ゆい数カ月でした。



現場の下見に行ったのが2014年末、

まだ寒いさなかでありました。



準備に入ったころ、

すぐそばの公園には桜が咲いておりました。

それが散ったかと思うと、

新緑が生い茂り、

セミが鳴きはじめ、

いくつかの台風が去来した後。

この《家原美術館2015》が開館し、

閉館のころには、

すぐそばの公園から

キンモクセイの香りが立ちこめておりました。




季節を3つ、4つ駆け抜けた《家原美術館2015》。



語りたいことは、

大盛りライスのようにてんこ盛りでございます。



会期中の出来事につきましては、

次回『其の2』以降で語ることとして。



まずは、開催までの過程、

展示空間が完成するまでのようすを

お伝えいたしたいと思うのでございます。


いってみれば、

家原美術館2015〜中間報告・其の4』からのつづき、

といった流れであります。



会場のようす、開催期間中の出来事などは、

追ってお伝えしようという所存でございますゆえ、

どうぞ気長にお待ちくださいますことを

お勧めいたします。



それでは『回想録・其の1』、

は〜じま〜るよ〜!



※今回もまた長尺になることが予想されますので、
 手元にお菓子とお飲み物を用意したうえ、
 お手洗い等をお済ませになってからお読みください。










5月1日(金)晴れ <16日目>


家を出て駅の改札をくぐり抜けてから、
忘れものに気がついた。

駅員さんに話すと、
改札口を開けてくれた。

帰宅し、再び駅。いい陽気に汗ばむ。




今回の制作で使用したのは、赤、黄、青、白、黒の水性ペンキ。
日を浴びたそのさまは、まるでヒーローかスターであります。



ペンキ、赤(4㎏)。

まず、やってみて、それから考える。




まずは赤色のペンキから。





純白の中にたたずむ白衣姿。
さあ、はじめるよ!





真っ白い空間。





13時37分





14時06分





15時19分





15時56分




16時11分





16時30分





13時37分


赤を塗った。

ただ、何も考えず、描きなぐった。

どうなることかはまだ分からないけど、
100でやる。100にする。

















































赤いペンキのついた白衣。




赤い、ペンキのついた白衣。

この白衣を着たまま、ポカリスウェットを買いに行ったら、
すれちがう人みなが二度見、三度見でふり返った。


病院のひしめく界隈(かいわい)で。

血のような「赤」がついた白衣。


そりゃあ見るよね、誰でも。





5月2日(土)晴れ <17日目>


よく眠った。

ひと晩つけ込んだフレンチトースト。
めちゃくちゃおいしかった。
クリームサンドチョコクッキーも
すごくおいしく感じた。


9時50分、始動。






ペンキ、黄色(4㎏)。




10時27分




11時04分




12時30分























しまった!

パピコ(チョココーヒー味)食べる前に
カフェオレ飲んじゃった!







14時11分




15時12分





16時08分





16時28分





16時42分





赤に、黄色のついた白衣。
こうなると、三度見する人もいなくなった。



17:00。黄色、終了。


刷毛が、ドレットになった。
髪の毛が、タイガースになった。

19:00、晩ごはん。






5月3日(日)晴れ <18日目>


8:00起き。

9:45準備、10:00始動。

うすピンク/ペンキ赤:白=3:1





天井、うすピンク





左手、青




 12:45、ピンク終了。

1本ずつ、少しずつ、線をつないで、
そこからまた考える。

13:30、青(ピンク+原色青)。

17:05、終了。












5月4日(月)雨 <19日目>





床、水色





右正面壁、青





黄緑、青





床、黄緑










透けたり、刷毛がぼさぼさで
コントロールしにくかったりで
へこたれそうにもなったけれど。

自分を鼓舞して立て直す。

と、それが線にも出てくる。


いつ完成するのか、どれくらいなのかと。

思えばそこでおしまい。

19:50、うす紫。

22:00、終了。






左手、うす紫









5月5日(月)晴れ <20日目>


8:00起床。

朝から『トム・ソーヤーの冒険』を読んで涙々。






床、青と、





天井、うす紫





★ ★



5月9日(土)曇り <22日目>




刷毛では描きにくかったので、筆を用意した。





天井、赤





天井、水色





右手正面壁、赤





左手下方、白ピンク。天井中央、うすピンク。




5月10日(日)晴れ <23日目>


快晴。風もおだやか。





右壁、うすピンク、青










左手、床の間、赤





左、茶色










同じ色は二度とできない。

まったく同じ色は、二度とできない。











5月11日(月)晴れ <24日目>


ひんやりとする朝。

空も、冬みたいな色だった。




天井、緑










正面、群青色












『永遠さえも白髪になっているにちがいないという気がした』
(『トム・ソーヤーの冒険』より)






5月12日(火)曇りのち雨 <25日目>


右肩の筋がおかしい。痛い。

体が痛くて朝、起きづらかったけれど、
10:00には開始。





正面、うすピンク。右正面、青紫。










右手、ふすまと壁面。




激しい雨。

居室廊下にも小さな雨漏り。


「線の終わらせ方」





5月13日(水)晴れ <26日目>


雨上がりの快晴。


高さのちょうどいい、風呂のイス。
「定位置」から見るために置く。

立て膝からの解放。
テニスのボールボーイのような日々との決別。




右下方向、ピンク










茶色の横、ピンク
















5月14日(木)晴れ <27日目>


爽やかな快晴。




左上方向、ライトグリーン




調色のむずかしさ。

照明との関係。

塗ってみて、乾かして、気に入る色になるまで塗る。





5月15日(金)晴れ <28日目>


深く眠った。

今回、現場に来て1週間が経った。




右下方向、青





青、あらため青緑。左手、緑。




天井、オレンジ。右下方向、青グレー。










5月16日(土)曇り時々雨 <29日目>


椅子と椅子固定具、完成。





















★ ★ ★



5月19日(火)晴れ <30日目>


雨上がりの快晴。

昨日、車でペンキを置きにきたのが
遠い昔のことに感じる。

赤2㎏と黄色3㎏を買い足した。








右下方向、オレンジ









緑も、黄緑も、
オレンジ色も、クリーム色も。

みんな黄色が必要だ。


黄色の偉大さ





5月20日(水)晴れ <31日目>


朝食(晩ごはんしかり)。
量より品目。

いろいろな味、種類を食べると、
いろいろ感じる受容体が目覚める。





左上方向、紺色












いきなりすぐに、
いい感じになるものでもない。



5月21日(木)晴れ <32日目>


夜中の雷鳴、豪雨。
朝はさわやかな晴。




天井右手、ウォームグレー














5月22日(金)曇り時々晴れ <33日目>












5月23日(土)曇り <34日目>


想像力、対応力、選択。

















5月24日(日)曇り <35日目>


「散らかった頭がまとまった」












★ ★ ★ ★



5月27日(日)曇り <36日目>


予定より遅刻した電車の中で、
オーストラリアから一時帰国した友人とばったり。

すごい確率。












5月28日(木)晴れ時々曇り <37日目>


蒸し暑い夜から朝。

冷房なしは慣れているけど、
鉄筋コンクリートの暑さは暑い。


















5月29日(金)曇り <38日目>


8:00。ジェット機が目覚まし。














難所。

よく見て、シンプルに感じること。


5月30日(土)晴れ <39日目>


暑い、風のない朝。

10:30ごろ、窓の外、
階下から何やら声がしたので覗いてみると、
女の人がこちらを見上げて話しかけてきた。


「その音楽いいね、なんていう人?」


「ラモーンズです」


「え?」


「ラモーンズっていう、70年代のバンドです」


「かっこいいね。ここでずっと聴いてたからさ」


「あ、ありがとうございます。
 迷惑じゃなければよかったです」


「たぶん、迷惑なんじゃない?
 向こうから歩いてくるときずっと聞こえてたから」


「え、そうなんですか?」


「夜中はだめだよ。迷惑だから」


「はい。朝も10時ごろからですから」


「夜中はだめだよ」


「はい、分かりました」


うなずく女の人。


「ありがとうございます」


と、手を合わせて、
再びうなずく女の人に敬礼。

そのまま静かに後ずさりしながら、
女の人の視界から消えると、
フルボリュームの音楽の音量を
少し下げたのでした。


やさしく、諭してくれた女の人に、
感謝しつつ。

明日からはひかえめな音量で
聞こうと思ったのであります。







15:30すぎ、
自動販売機にポカリスウェットを買いに行ったら
10円足りなくて戻る道すがら、
50円玉が埋まっていると思ったら、
ワッシャーだった。


夜、屋上で一服。

屋内より外のほうが涼しい。


5月31日(日)晴れ <40日目>


7:25ごろ。

快晴。

風のほかには誰もいないような静かな朝に、
昼すぎまで寝てしまったかと思い、
時計を見る。

そのまま起きて、のんびり朝食。

昨晩は体が痛くて
何度も寝返りを打ったのを覚えている。
右腕のしびれ。

けれどよく眠った。


雨の予報が、晴れた。






★ ★ ★ ★ ★



6月3日(水)雨のち曇り <41日目>


家を出るころには雨も上がった。


じっくり見て、色、流れ、形を決めていく。

中央、うすピンク右手の緑青を
何度も消して描き直す。



音楽の合間、
外の道路を自転車で走り去るおじさんが、


「ふあぁぁぁ〜ぁあ。眠いな、ちくしょう!」


と、大あくびのあと
大きな声で言うのが聞こえた。



6月4日(木)晴れ <42日目>












6月5日(金)曇時々雨 <43日目>


肌寒い朝。

外に出たとき、
信号待ちをしながらぼんやりと
レストランのメニューに目を向けていたら、
自転車に乗った男性にいきなり声をかけられた。


「1ポンドハム食べれば?」

最初、その男性はこう言っていると思った。


「え?」


と、聞き返すと、


「いちばん高いの食べれば?」

と言っているのが分かった。


そう言い残し、男性は、
信号が青になったと同時に、

「カウンターー!!!」

と、大きなおたけびをあげて、
全速力で自転車をこいで去っていった。









商店街で、
ずっと目をつけていた置物を買った。

いつも覗いていたお店が
金曜日ということで開いていて、
ようやく買うことができた。


6月6日(土)晴れ <44日目>











6月7日(日)晴れ <45日目>


朝、目を覚ますと、
いい声の「さお竹屋さん」がきたのかと思って、
よく耳を澄ますと、お経を読む声だった。

すごくいい声とメロディだった。














6月8日(月)曇りのち雨 <46日目>


スティーブ・ライヒ(Steve Reich)の
『18人の音楽家のための音楽(Music for 18 musician)』は
集中できる。

時間の密度がものすごく濃くなる。



























6月9日(火)曇り <47日目>








6月10日(水)晴れ <48日目>









☆ ★




さて。


そろそろ朝が迫ってきましたので、

今回はここまでにいたしましょう。



次回は<49日目>から。



おそらくまた

すぐにお会いできると思いますが。

どうかそのときまで、

みなさまごきげんよう=♡×100












家原美術館2015〜中間報告・其の1

家原美術館2015〜中間報告・其の2

家原美術館2015〜中間報告・其の3

家原美術館2015〜中間報告・其の4




< 今日の言葉 >


「豆が たいずき」

(豆が大好き/「豆」と「大豆」と「大好き」をかけた
 ハイクオリティな だじゃれ)