2010/09/27

お知らせです。




10月7日より、
展覧会を開催します。



「色鉛筆で描きました」

という展覧会で、

そのタイトルどおり、
色鉛筆で描いた絵を展示します。




<場所>

岐阜市城東通3-19

Ginga

というカフェです。



<日時>

10月7日(水)から10月19日(火)まで

※水曜日定休

11:00から23:00まで
(休日の前日は24:00まで)


詳しくは Ginga HPをご覧ください。






Gingaは、
コーヒーがおいしくて、
ケーキをはじめ、
ピザやパスタなどの
料理もおいしいお店です。


オニオンリングなどもあるので
うれしいです。


本棚には
おもしろい本もいっぱいあって、
ゆっくりとくつろげる空間だと思います。




「色鉛筆で描きました」


たぶん、
おもしろい展覧会だと思うので、
よかったら
見にきてみてください。


実際に見てみると、
印刷物や画面では見えない
色や手ざわりが感じられて、
すごくたのしいと
思います。


ぼくも
いまからたのしみです。




それでは。


たのしく描いた絵なので、
きっとたのしんでもらえると思います。

2010/09/18

いろいろな箱のなかで


世界中にはまだまだ、
行ったことのない国や
行ったことのない場所がある。

行ったことのある国や場所よりも、
行ったことのないところの方がだんぜん多い。

行ったことのない場所。

これから先、
行くことになる場所もあれば、
一生、行かないままの場所もある。


高台に登って景色を見下ろすと、
ビルとか家とか、たくさんの建物が見える。

建物には窓がある。

数えきれないほどの窓。

ざっと見ただけでも、
窓の数と同じくらいの部屋があって、
それと同じだけ個別の「生活」がある。


部屋は、
ほかの場所から区切られた空間であるとともに、
ある意味で、独立した「国」みたいなものでもある。


インテリアや音楽の趣味性、
食べるもの、着るもの、
信じてるものとか決まり事だとか。
部屋に暮らす人たちによって、
それぞれちがう。

それぞれ、「部屋」という単位で区切られた
独自の「文化」がある。


似ているようで、みんな違う「部屋」。


ずらりと並んだマンションの部屋も。
同じ間取りだったとしても、
住んでる人で、かなり違う。


お父さんの部屋とお兄ちゃんの部屋では、
まったくちがうと思うし、
同年代でも、
好みや習慣、これまでの積み重ねなんかで、
ぜんぜんちがう「部屋」になるはずだ。

部屋は、その「人」と、
その人たちの「文化」を映し出す。


ぼくは、いろんな部屋を見てみたい。

いろんな場所を見てみたい。


世界は、部屋という箱が
たくさん集まってできているのかと思うと、
ちょっとおもしろい。

世界には、そんな「箱」がたくさんある。

箱が集まって、家になったり、
箱が集まってビルになったり。

たくさんの箱が集まった場所が街になって、
たくさんの箱が集まって、ひとつの「国」ができている。


いろいろな「箱」。


もっといえば、
人そのものが、独立した1この「部屋」でもある。


まだまだ知らない、たくさんの「部屋」。

ぼくは、いろいろな「部屋」を見てみたい。

いろいろな「部屋」をのぞいてみたい。


こっそりのぞくのではなくて。

その部屋の窓をまっすぐ見つめて、
正面のドアから中に迎え入れられたい。

その部屋で、
チェッカーズの音楽でも聴きながら、
ツイスターゲームをしたり、
ミルクティーを飲みながら原宿ドックを食べたりして、
くつろぎたい。


いろいろな箱。

いろいろな箱で、くつろいでみたい。


ぼくの箱は、散らかってるけど。

かとうれいこのポスターとか、
おニャン子クラブのレコードもあるから、
たぶんゆっくりくつろげると思う。

ハート形の氷の入った、
冷え冷えのカルピスも用意するから。


< 今日の言葉 >

「ちょっと、貝柱が見えてるよ!」

(何を注意されたのか分からないけど、ちょっとはっとする言葉)



2010/09/05

こころの洗濯


先日、友人の故郷へ行ってきた。

2つの県境にはさまれたその町は、
ぐるりと山々に囲まれた山あいの集落にある。

青空よりも青い青空と、
青々とした水をたたえる清流。

ほんの2時間半くらい北上しただけで、
こんなにも違うのか。

空気も、水も、光も。
ぜんぶ、透き通っていた。


川遊びや山登り。

満天の星空で見た天の川や流れ星。

偶然出会ったニホンザルやニホンカモシカ。

そんな話もしたいのだけれど。

今回は、
町の商店街での出来事を話したいと思う。


つづら折りの坂道の中腹。
農協などが集まる開けた場所に、
その商店街はある。

地元の酒はもちろん、
選りすぐりの酒や食品を販売する酒屋さん。

時計やメガネを扱う宝飾店。

食器や生活用品をはじめ、
業者さんが「バンセン(針金)」などを買いにくることもある、
金物屋さん。

お出かけ着から下着まで、
何でもそろう洋品店には、文房具なども売っている。

ほかにも、魚料理の老舗や
薬屋さんなどが立ち並ぶ。


山々を望む、
全長200メートルほどの商店街。


その商店街の一角に、
年季の入った洋服屋さんがあった。

軒先から垂れた
日よけシートの奥からのぞく、
昭和テイストのマネキンや洋品たち。

一見して、
70年代から80年代の商品が目についた。

そんなこともあって。

往路のバスで見たときから、
ずっと入りたいと思っていた。


さっそく店に入って、
いろいろ商品を見て回った。

商品だけでなく、
棚やポスター、天井や床など、
どこを切っても歴史を感じる。

スマップの香取くんの、半裸のポスター。


『ハダカと君とコットンと。』


薄手の布団にくるまった写真の横には、
そんなキャッチコピーが書かれていた。

ポスターのなかの香取くんは、
ぼくの知っている香取くんよりも、
ずいぶん若い香取くんの写真だった。

つい先週、
コンサートで見た香取くんは、
たしかもっと茶色い髪をしていた。


そんなこんなで。


あれこれ店のなかを見て回っていて。

紳士物コーナーで、
ちょうどよさそうなサイズの、
デニムのベルボトムを見つけた。

おそらく70年代のものと思われる、
『BORMAN』という商標のベルボトム。

同じサイズのものが2本あったので、
とにかく試着してみようと
お店の人に声をかけた。

お昼どきだったので、
もしかするとごはんを食べていたのかもしれないけれど。

小柄で柔和な感じのおじさんが、


「はいはい、どうもいらっしゃいませ」


と、店の奥から
にこやかな笑顔でやってきた。


「あの、これ、試着してみたいんですけど」


2本のベルボトムを手にして聞いてみると、
おじさんは、にこにこしながらうなずいた。


「どうぞ。そこの、試着室で履いてみて」


オレンジ色のカーテンで仕切られた試着室は、
半円形で、なんだかエキスポチックだった。

エキスポ70、大阪万博。

その感じが、
逆に近未来的な雰囲気に見えなくもなかった。


1本目を履いて、外に出る。

その映像、履き心地を記憶しながら、
2本目に履き替え、再び試着室の外に出る。

明るい、自然光の下で見てみたくて、
店先まで出て行って色合いを見てみる。

試着室に戻って、
もう一度1本目に履き替える。

自然光を求めて店先へ。

またまた2本目に履き替え、
シルエットやラインを確認する。


そんなことを繰り返すうち、
汗がだらだら吹きこぼれてきた。

ただでさえ暑い、真夏日なのに。

クーラーのついていない試着室のなかは、
ちょっとした蒸し風呂のような暑さだった。


どっちにしようか。

決めかねて、おじさんに聞いてみた。


「おじちゃん。もし2本買ったら、どんな感じ?」


ズボンについた値札は、
もとは3,700円だったらしく、
奉仕品のシールで
1,850円にまで値下げされている。


1本1,000円だったら、
ぼくは、迷わず2本買うつもりだった。


「いいよ、日焼けもしてるし、2本で2,000円で」


2本で2,000円。

ということは、
1本1,000円ということだ。


「本当に? わ、ありがとう。
 じゃあ、2本ともください」


おじさんのにこやかな顔にお礼を言いながら、
ベルボトムを2本とも手渡した。


汗だくになっているぼくを見て、
おじさんは、扇風機のスイッチをパチパチと押した。

けれども、
扇風機の羽根は回らず、
ちっとも風はこなかった。


一段上がった畳の上に置かれたその扇風機は、
コンセントが入っていなかった。

だから、スイッチを押しても風はこない。


それでも、
おじさんのやさしさというそよ風が
ぼくの頬をそっとなでてくれたので、
心地よい風を浴びたような気持ちになった。


店のなかを見ていたら、
ほかにも気になるものがいろいろ出てきた。

ボタンやサスペンダーも、
ぼくが子供時代に使っていたようなものがたくさんあった。


「よかったら持ってっていいよ。
 欲しい人に持ってってもらえたら、いいから」


お礼を言って、あれこれもらった。


コアラのぬいぐるみや、おしゃぶり人形など。
店内に飾られたものを見ると、
どうも見覚えのあるような時代のものが多かった。

ちょうどぼくが子供だったころ。

同じようなものが、家に飾ってあった気がする。


聞くところによると、
おじさんには結婚して出て行った
35歳の娘さんがいるそうだ。


35歳といえば、
ぼくと同い歳か、それとも同年代だ。


どうりで見覚えのあるようなものが多いはずだ。



娘さんの部屋にあったぬいぐるみや人形などを、
おじさんが店内に持ってきて飾ったのだと。
そう言っていた。


「お店が、さみしかったもんでね」


なんだか照れたように笑うおじさんの顔に、
少しだけ胸の奥がぎゅっとなった。


娘さんは、
それほど遠くに行ったわけではないけれど。

お店を継ぐ人はおらず、
おじさんの代でこの店をたたむという。


「ほっといても、捨てるばっかりだから」


そういって、
おじさんはボタンなどをいろいろ見せてくれた。


試着のときも、
おじさんは、助言や意見を真剣にしてくれた。


商売ぬきの、
親戚のおじちゃんか友だちみたいな心安さで。


ほかのお店の人たちもそうだったけれど。

みんな、すごく人がよかった。



思ったこと。


それは、


水と空気のきれいなところには、
いい人が多い。


毎日、きれいな空気を吸って、
きれいな水に囲まれて、
きれいな空気と水と土で育ったお肉や野菜を食べて。


さばさばしてるようだけど、
みんな、きれいなひとばかりだ。



自分の生まれ育った町と、
友人の、生まれ育った町。


違うところはたくさんある。

けれど、共通点もいくつかある。


慣れたり、飽きたりすることもあれば、
発見したり、刺激を感じたりすることもある。


「ない物ねだり」をするのは、
どこにいても同じことだ。


だからこそ、
いつでも白紙の気持ちでいたい。


そんなふうに、
いつになくまじめぶったことを思ったりもして。


友人の故郷で、
いろいろなものを見て、
いろいろな人に出会って。

ぼくも、
少しは心がきれいに洗われたのかもしれない。


心の洗濯とは、
こういうことをいうのかもしれないなと。


そんなベタなことを思いつつ。

県境の、小高い山の尾根で、
きれいな空気を吸い込みながら、
景色を眺めていたら。

近くにいた若い女の人が、
乾いた音で「ブッ」とおならをこいた。


きれいな景色のなかで、
きれいな空気といっしょに吸い込んだおならは、
お金では買えない、
ぼくのすてきなお土産のひとつとなったのでありました。



< 今日の言葉 >

たんたんタヌキのキン肉マン

(November, 27, 2009/イエハラ・ノーツSより)